出典:第二種衛生管理者2022年(令和4年度)4月公表問題|労働生理第27問
問題
視覚に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 眼は、周りの明るさによって瞳孔の大きさが変化して眼に入る光量が調節され、暗い場合には瞳孔が広がる。
(2) 眼軸が短すぎることなどにより、平行光線が網膜の後方で像を結ぶものを遠視という。
(3) 角膜が歪(ゆが)んでいたり、表面に凹凸があるために、眼軸などに異常がなくても、物体の像が網膜上に正しく結ばれないものを乱視という。
(4) 網膜には、明るい所で働き色を感じる錐(すい)状体と、暗い所で働き弱い光を感じる杆(かん)状体の2種類の視細胞がある。
(5) 明るいところから急に暗いところに入ると、初めは見えにくいが徐々に見えやすくなることを明順応という。
第二種衛生管理者|視覚の仕組みと目の異常|遠視・乱視・明暗順応の基礎知識を解説
視覚では、瞳孔による光量調節、網膜での光の受容、遠視や乱視などの屈折異常、明暗への順応がよく問われます。答えは(5)です。明るいところから暗いところに入ったとき、徐々に見えやすくなる現象は明順応ではなく暗順応です。明順応は、暗いところから明るいところに出たときに、強い光に目が慣れて見えやすくなる現象をいいます。

(1) 眼は、周りの明るさによって瞳孔の大きさが変化して眼に入る光量が調節され、暗い場合には瞳孔が広がる。
適切です。その理由は、瞳孔が眼に入る光の量を調節する役割をもつためです。明るい場所では光が入りすぎないように瞳孔は小さくなり、暗い場所では少ない光をできるだけ多く取り込むために瞳孔は大きくなります。これは虹彩の働きによるもので、カメラの絞りのような仕組みと考えると理解しやすいです。
(2) 眼軸が短すぎることなどにより、平行光線が網膜の後方で像を結ぶものを遠視という。
適切です。その理由は、遠視では眼の前後の長さである眼軸が短い場合などに、光の焦点が網膜より後ろにずれるためです。網膜上に正しく像が結ばれないため、近くのものを見るときに特に調節が必要になります。遠視は、焦点が網膜の後方に結ばれるという点を押さえることが大切です。
(3) 角膜が歪(ゆが)んでいたり、表面に凹凸があるために、眼軸などに異常がなくても、物体の像が網膜上に正しく結ばれないものを乱視という。
適切です。その理由は、乱視は角膜や水晶体の曲がり方が方向によって異なるため、光が一点に集まりにくくなる状態だからです。眼軸の長さに大きな異常がなくても、角膜のゆがみなどによって焦点がずれ、物がぼやけたり二重に見えたりします。近視や遠視が眼軸や屈折力の異常で説明されるのに対し、乱視は角膜などの形のゆがみがポイントです。
(4) 網膜には、明るい所で働き色を感じる錐(すい)状体と、暗い所で働き弱い光を感じる杆(かん)状体の2種類の視細胞がある。
適切です。その理由は、網膜には役割の異なる2種類の視細胞があるためです。錐状体は明るい場所で働き、色の識別に関係します。杆状体は暗い場所で働き、弱い光を感じ取ることに関係します。試験では、錐状体は明所と色、杆状体は暗所と弱い光、という組合せで覚えると判断しやすくなります。
(5) 明るいところから急に暗いところに入ると、初めは見えにくいが徐々に見えやすくなることを明順応という。
不適切です。その理由は、明るいところから暗いところに入って、時間の経過とともに暗さに目が慣れて見えやすくなる現象は暗順応だからです。明順応は逆に、暗いところから明るいところに出たときに、まぶしさに慣れて見えやすくなる現象です。この選択肢は、現象の説明自体は正しいものの、用語が明順応ではなく暗順応であるため誤りです。
この問題で覚えるポイント
視覚では、瞳孔、網膜、屈折異常、順応の4点を整理して覚えることが重要です。瞳孔は眼に入る光量を調節し、暗い場所では広がり、明るい場所では小さくなります。遠視は眼軸が短すぎることなどにより焦点が網膜の後方に結ばれる状態で、近視は焦点が網膜の前方に結ばれる状態です。乱視は角膜や水晶体のゆがみにより、光が網膜上の一点に正しく集まらない状態です。網膜の視細胞では、錐状体は明るい場所で働き色を感じ、杆状体は暗い場所で働き弱い光を感じます。明順応は暗い場所から明るい場所に移ったときに目が慣れること、暗順応は明るい場所から暗い場所に移ったときに目が慣れることです。正誤判断では、遠視と近視の焦点位置、錐状体と杆状体の役割、明順応と暗順応の方向を確実に区別することが得点につながります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、文章の現象説明が自然に見えるため、用語の誤りに気づきにくい点です。明るいところから暗いところに入ると徐々に見えやすくなる、という内容そのものは日常経験とも一致します。しかし、それは明順応ではなく暗順応です。受験者は「明るいところから」という言葉に引っ張られて明順応と判断しやすくなります。順応の問題では、出発点ではなく、目が慣れていく先の環境を意識すると間違えにくくなります。暗さに慣れるのが暗順応、明るさに慣れるのが明順応です。
