【第二種衛生管理者過去問】2022年4月公表問題|問17|労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の仕組みと運用|労働衛生を解説

出典:第二種衛生管理者2022年(令和4年度)4月公表問題|労働衛生第17問

問題

厚生労働省の「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) この指針は、労働安全衛生法の規定に基づき機械、設備、化学物質等による危険又は健康障害を防止するため事業者が講ずべき具体的な措置を定めるものではない。

(2) このシステムは、生産管理等事業実施に係る管理と一体となって運用されるものである。

(3) このシステムでは、事業者は、事業場における安全衛生水準の向上を図るための安全衛生に関する基本的考え方を示すものとして、安全衛生方針を表明し、労働者及び関係請負人その他の関係者に周知させる。

(4) このシステムでは、事業者は、安全衛生方針に基づき設定した安全衛生目標を達成するため、事業場における危険性又は有害性等の調査の結果等に基づき、一定の期間を限り、安全衛生計画を作成する。

(5) 事業者は、このシステムに従って行う措置が適切に実施されているかどうかについて調査及び評価を行うため、外部の機関による監査を受けなければならない。

第二種衛生管理者|労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の仕組みと運用を解説

労働安全衛生マネジメントシステムは、事業者が安全衛生方針を示し、目標を定め、計画を作成し、実施し、その結果を評価して改善につなげる仕組みです。答えは(5)です。誤りの理由は、指針ではシステム監査を行うことは求められていますが、外部の機関による監査を必ず受けなければならないとはされていないためです。事業場内で行う内部監査も含まれる点を押さえることが大切です。

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(1) この指針は、労働安全衛生法の規定に基づき機械、設備、化学物質等による危険又は健康障害を防止するため事業者が講ずべき具体的な措置を定めるものではない。

適切です。その理由は、労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針は、個別の危険作業や有害物質について「この設備を設ける」「この保護具を使う」といった具体的措置を定めるものではなく、事業場が安全衛生活動を計画的、継続的に進めるための仕組みを示すものだからです。具体的な危害防止措置は、労働安全衛生法、労働安全衛生規則、関係する個別規則などで定められます。

(2) このシステムは、生産管理等事業実施に係る管理と一体となって運用されるものである。

適切です。その理由は、安全衛生管理は現場の作業や生産活動と切り離して行うものではないからです。労働災害や健康障害は、作業方法、設備、工程、作業計画、人員配置などと深く関係します。そのため、OSHMSは安全衛生部門だけで独立して動かすのではなく、生産管理、品質管理、設備管理など事業運営の管理と一体的に運用することが求められます。

(3) このシステムでは、事業者は、事業場における安全衛生水準の向上を図るための安全衛生に関する基本的考え方を示すものとして、安全衛生方針を表明し、労働者及び関係請負人その他の関係者に周知させる。

適切です。その理由は、OSHMSでは、まず事業者が安全衛生方針を表明することが出発点になるからです。安全衛生方針とは、事業場として安全と健康をどのように確保し、どのような方向で改善していくかを示す基本的な考え方です。また、方針は掲げるだけでは不十分で、労働者や関係請負人など、現場に関わる人に周知されて初めて実効性を持ちます。

(4) このシステムでは、事業者は、安全衛生方針に基づき設定した安全衛生目標を達成するため、事業場における危険性又は有害性等の調査の結果等に基づき、一定の期間を限り、安全衛生計画を作成する。

適切です。その理由は、OSHMSでは、安全衛生方針を具体化するために安全衛生目標を設定し、その目標を達成するための安全衛生計画を作成する流れになっているからです。計画は抽象的な努力目標ではなく、危険性又は有害性等の調査、いわゆるリスクアセスメントの結果などに基づいて作成します。また、計画は一定期間を区切って作成し、実施後に評価し、必要に応じて改善していくことが重要です。

(5) 事業者は、このシステムに従って行う措置が適切に実施されているかどうかについて調査及び評価を行うため、外部の機関による監査を受けなければならない。

不適切です。その理由は、OSHMSでは、システムに従って行う措置が適切に実施されているかどうかについて、調査及び評価、つまりシステム監査を行うことは求められますが、外部機関による監査を必ず受けなければならないとはされていないからです。監査という言葉から第三者機関による外部監査を連想しやすいですが、この指針で重要なのは、事業場が自ら安全衛生管理の実施状況を点検し、問題点を見つけ、改善につなげる仕組みを持つことです。

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この問題で覚えるポイント

労働安全衛生マネジメントシステムは、安全衛生方針の表明、安全衛生目標の設定、安全衛生計画の作成、計画の実施、実施状況の評価、改善という流れで安全衛生水準を継続的に高める仕組みです。個別の機械、設備、化学物質についての具体的措置を直接定めるものではなく、安全衛生活動を計画的に管理するための枠組みである点を押さえます。安全衛生方針は事業者が表明し、労働者だけでなく関係請負人など関係者にも周知します。安全衛生計画は、安全衛生目標を達成するために、危険性又は有害性等の調査結果などに基づいて、一定期間を区切って作成します。システム監査は、措置が適切に実施されているかを調査、評価するものですが、外部機関による監査が必須という意味ではありません。

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ひっかけポイント

この問題の大きなひっかけは、「監査」という言葉から外部の専門機関による監査を当然に連想してしまう点です。OSHMSでは監査や評価は重要ですが、それは必ずしも外部機関に依頼するという意味ではありません。また、「具体的な措置を定めるものではない」という表現も一見すると弱く見えますが、OSHMS指針は個別の作業規制ではなく、管理の仕組みを示すものなので正しい記述です。安全衛生方針、目標、計画、リスクアセスメント、評価、改善という流れを理解していれば、外部監査を義務づけるような強い表現に気づきやすくなります。

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