【第二種衛生管理者過去問】2022年4月公表問題|問15|労働衛生統計の基礎知識|正規分布・静態データ・相関関係|労働衛生を解説

出典:第二種衛生管理者2022年(令和4年度)4月公表問題|労働衛生第15問

問題

労働衛生管理に用いられる統計に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 健康診断において、対象人数、受診者数などのデータを計数データといい、身長、体重などのデータを計量データという。

(2) 生体から得られたある指標が正規分布である場合、そのばらつきの程度は、平均値や最頻値によって表される。

(3) 集団を比較する場合、調査の対象とした項目のデータの平均値が等しくても分散が異なっていれば、異なった特徴をもつ集団であると評価される。

(4) ある事象と健康事象との間に、統計上、一方が多いと他方も多いというような相関関係が認められたとしても、それらの間に因果関係があるとは限らない。

(5) 静態データとは、ある時点の集団に関するデータであり、動態データとは、ある期間の集団に関するデータである。

第二種衛生管理者|労働衛生統計の基礎知識|正規分布・静態データ・相関関係を解説

労働衛生統計では、データの種類、ばらつきの表し方、相関関係と因果関係の違い、静態データと動態データの違いがよく問われます。答えは(2)です。正規分布におけるばらつきの程度は、平均値や最頻値ではなく、分散や標準偏差によって表します。平均値や最頻値はデータの中心的な位置を示す値であり、ばらつきの大きさを示す値ではありません。

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(1) 健康診断において、対象人数、受診者数などのデータを計数データといい、身長、体重などのデータを計量データという。

適切です。計数データとは、人数、件数、回数など、数えて得られるデータのことです。健康診断の対象人数、受診者数、有所見者数などは、何人いるかを数えるデータなので計数データに当たります。一方、計量データとは、身長、体重、血圧、血糖値など、測定して得られる連続的な数値データのことです。労働衛生統計では、まずデータが「数えるもの」なのか「測るもの」なのかを区別することが正誤判断の基本になります。

(2) 生体から得られたある指標が正規分布である場合、そのばらつきの程度は、平均値や最頻値によって表される。

不適切です。正規分布において、データのばらつきの程度を表す代表的な指標は、分散や標準偏差です。平均値はデータ全体の中心的な位置を示す値であり、最頻値は最も多く出現する値を示すものです。どちらも「中心の位置」を表す値であって、「どのくらい散らばっているか」を表す値ではありません。たとえば、2つの集団の平均身長が同じでも、片方はほとんどの人が平均付近に集まり、もう片方は低い人と高い人が大きく分かれている場合があります。この違いを表すのが分散や標準偏差です。したがって、平均値や最頻値でばらつきの程度を表すとする本肢は誤りです。

(3) 集団を比較する場合、調査の対象とした項目のデータの平均値が等しくても分散が異なっていれば、異なった特徴をもつ集団であると評価される。

適切です。平均値が同じでも、データの散らばり方が違えば、その集団の特徴は異なります。分散は、個々のデータが平均値からどの程度離れているかを示す指標です。たとえば、同じ平均体重の集団でも、全員が平均に近い体重でまとまっている集団と、軽い人と重い人の差が大きい集団では、健康管理上の見方が変わります。労働衛生管理では、平均値だけを見るのではなく、分散や標準偏差によってばらつきも確認することが重要です。

(4) ある事象と健康事象との間に、統計上、一方が多いと他方も多いというような相関関係が認められたとしても、それらの間に因果関係があるとは限らない。

適切です。相関関係とは、2つの事象が関連して変動しているように見える関係のことです。しかし、相関関係があるからといって、一方がもう一方の原因であるとは限りません。たとえば、ある作業環境と体調不良の発生に関連が見られたとしても、年齢、勤務時間、生活習慣、他の作業要因などが影響している可能性があります。統計では、相関関係と因果関係を区別することが非常に重要です。「関係があるように見える」ことと「原因である」ことは同じではありません。

(5) 静態データとは、ある時点の集団に関するデータであり、動態データとは、ある期間の集団に関するデータである。

適切です。静態データは、ある一時点における状態を表すデータです。たとえば、ある時点での労働者数、有所見者数、有所見率などが該当します。動態データは、一定期間における変化や発生状況を表すデータです。たとえば、一定期間内の疾病発生件数、死亡数、休業日数などが該当します。静態データは「その時点の状態」、動態データは「一定期間の動き」と整理すると覚えやすいです。

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この問題で覚えるポイント

労働衛生統計では、計数データは人数や件数のように数えて得るデータ、計量データは身長、体重、血圧など測定して得るデータです。正規分布では、平均値、中央値、最頻値は中心的傾向を表す値であり、ばらつきは分散や標準偏差で表します。平均値が同じでも分散が異なれば、集団の特徴は異なります。相関関係は2つの事象に関連が見られる状態ですが、因果関係を直ちに意味するものではありません。静態データはある時点の状態を表し、動態データは一定期間における変化や発生状況を表します。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「平均値」や「最頻値」という統計でよく見る用語を、ばらつきの指標と混同させる点にあります。平均値や最頻値はデータの中心を示す値なので、言葉としては正しそうに見えても、ばらつきを表すものではありません。統計問題では、「中心を表す値」と「散らばりを表す値」を分けて考えることが重要です。また、相関関係があると因果関係まであるように感じてしまうことも典型的な思考の罠です。試験では、「関連がある」と「原因である」は別物として判断する必要があります。

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