出典:第二種衛生管理者2023年(令和5年度)4月公表問題|労働衛生第13問
問題
労働衛生対策を進めるに当たっては、作業環境管理、作業管理及び健康管理が必要であるが、次のAからEの対策例について、作業管理に該当するものの組合せはどれか。
A 座位での情報機器作業における作業姿勢は、椅子に深く腰をかけて背もたれに背を十分あて、履き物の足裏全体が床に接した姿勢を基本とする。
B 情報機器作業において、書類上及びキーボード上における照度を400ルクス程度とする。
C 高温多湿作業場所において労働者を作業に従事させる場合には、計画的に、暑熱順化期間を設ける。
D 空気調和設備を設け、事務室内の気温を調節する。
E 介護作業等腰部に著しい負担のかかる作業に従事する労働者に対し、腰痛予防体操を実施させる。
(1) A,B
(2) A,C
(3) B,E
(4) C,D
(5) D,E
第二種衛生管理者|労働衛生管理の三管理を解説
労働衛生管理の三管理とは、作業環境管理、作業管理、健康管理のことです。作業管理は、労働者の作業方法、作業姿勢、作業時間、作業手順などを適切にして、身体への負担や有害因子へのばく露を少なくする管理です。この問題では、Aの情報機器作業における作業姿勢と、Cの暑熱順化期間を設けることが作業管理に該当します。よって、答えは(2)A,Cです。

(1) A,B
不適切です。Aは作業管理に該当しますが、Bは作業環境管理に該当します。Aのように、椅子に深く腰をかけ、背もたれを使い、足裏全体を床につけるといった作業姿勢の管理は、労働者がどのような姿勢で作業するかを整えるものです。これは作業方法や身体負担を管理する内容なので、作業管理です。一方、Bの照度を400ルクス程度にすることは、作業場所の明るさという環境条件を整える対策です。照明、温度、湿度、換気、騒音、有害物質濃度など、作業場所そのものの状態を管理するものは作業環境管理に分類されます。そのため、AとBの組合せは作業管理だけの組合せではありません。
(2) A,C
適切です。AもCも作業管理に該当します。Aは、情報機器作業における作業姿勢を適切にする対策です。作業姿勢が悪いと、首、肩、腰、腕などに負担がかかり、筋骨格系の疲労や腰痛、肩こりなどにつながります。姿勢を整えることは、労働者の作業の仕方を管理する内容であるため、作業管理です。Cの暑熱順化期間を設けることも、作業管理に該当します。暑熱順化とは、暑い環境での作業に身体を徐々に慣らしていくことです。いきなり高温多湿の場所で長時間作業させるのではなく、作業時間や作業負荷を段階的に調整することで、熱中症のリスクを下げます。これは、作業の進め方や作業時間の配分を管理する対策なので、作業管理です。
(3) B,E
不適切です。Bは作業環境管理、Eは健康管理に該当するため、作業管理の組合せではありません。Bの照度管理は、作業場所の明るさを適切にする対策です。これは労働者の作業方法ではなく、作業環境そのものを整える内容です。Eの腰痛予防体操は、労働者の身体機能を維持し、腰痛の発生を防ぐための健康保持増進の対策です。健康診断、保健指導、体操、健康教育など、労働者の健康状態の保持や疾病予防を目的とするものは健康管理に分類されます。腰痛予防と聞くと作業姿勢の管理と混同しやすいですが、体操の実施は身体側への働きかけであるため、健康管理として整理します。
(4) C,D
不適切です。Cは作業管理に該当しますが、Dは作業環境管理に該当します。Cの暑熱順化期間を設けることは、作業に従事する時間や負荷を段階的に調整し、労働者が暑熱環境に慣れるようにする対策です。これは作業のさせ方を管理するものなので、作業管理です。一方、Dの空気調和設備によって事務室内の気温を調節することは、作業場所の温熱環境を整える対策です。気温、湿度、気流、ふく射熱などを管理して働きやすい環境にするものは、作業環境管理に分類されます。作業者の行動を変えるのか、作業場所の環境を変えるのかを区別することが大切です。
(5) D,E
不適切です。Dは作業環境管理、Eは健康管理に該当します。Dは、空気調和設備により事務室内の気温を調節する対策です。これは作業場所の環境条件を適切にするものであり、作業環境管理です。Eは、腰部に負担のかかる作業に従事する労働者に腰痛予防体操を実施させる対策です。体操によって労働者の身体の柔軟性や筋力を保ち、腰痛を予防することを目的としているため、健康管理に分類されます。どちらも労働衛生上は重要ですが、作業管理ではありません。
この問題で覚えるポイント
労働衛生管理の三管理は、作業環境管理、作業管理、健康管理に分けて整理します。作業環境管理は、作業場所の状態を良くする管理です。照度、温度、湿度、気流、換気、有害物質濃度、騒音などを管理するものが該当します。作業管理は、労働者の作業の仕方を良くする管理です。作業姿勢、作業方法、作業手順、作業時間、休憩、作業負荷、暑熱順化などが該当します。健康管理は、労働者の健康状態を把握し、健康障害を予防する管理です。健康診断、保健指導、健康相談、予防体操、健康教育などが該当します。正誤判断では、場所や設備を整えるなら作業環境管理、作業のやり方を整えるなら作業管理、労働者の身体や健康状態に働きかけるなら健康管理と考えると分類しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、どの対策も労働者の健康を守る内容なので、すべて作業管理に見えてしまう点です。特に、情報機器作業の照度は作業に関係するため作業管理と考えがちですが、照度は作業場所の明るさという環境条件なので作業環境管理です。また、腰痛予防体操は腰部への負担対策なので作業管理と迷いやすいですが、体操は労働者の身体機能を保つ健康管理です。試験では、対策の目的だけでなく、何を直接管理しているかを見ることが重要です。環境を変えるのか、作業方法を変えるのか、健康状態に働きかけるのかを切り分けると、同じテーマの問題でも安定して判断できます。
