【第二種衛生管理者過去問】2024年10月公表問題|問28|代謝の基礎知識とエネルギー代謝率・METsの違い|労働生理を解説

出典:第二種衛生管理者2024年(令和6年度)10月公表問題|労働生理第28問

問題

代謝に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1) 代謝において、細胞に取り入れられた体脂肪、グリコーゲンなどが分解されてエネルギーを発生し、ATPが合成されることを同化という。

(2) 代謝において、体内に摂取された栄養素が、種々の化学反応によって、細胞を構成する蛋白質などの生体に必要な物質に合成されることを異化という。

(3) エネルギー代謝率は、一定時間中に体内で消費された酸素と排出された二酸化炭素の容積比である。

(4) 基礎代謝量は、安静時における心臓の拍動、呼吸、体温保持などに必要な代謝量で、睡眠中の測定値で表される。

(5) メッツ(METs)は、身体活動の強度を示す指標で、座位安静時の酸素消費量に対する運動時の酸素消費量で表される。

第二種衛生管理者|代謝の基礎知識とエネルギー代謝率・METsの違いを解説

代謝には、栄養素を分解してエネルギーを取り出す異化と、栄養素を材料にして体に必要な物質をつくる同化があります。答えは(5)です。METsは、座位安静時を1としたときに、その身体活動が何倍の酸素消費量に当たるかを示す指標です。エネルギー代謝率や基礎代謝量と混同しやすいところですが、それぞれ定義が異なるため、言葉の意味を正確に押さえることが大切です。

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(1) 代謝において、細胞に取り入れられた体脂肪、グリコーゲンなどが分解されてエネルギーを発生し、ATPが合成されることを同化という。

不適切です。体脂肪やグリコーゲンなどが分解され、エネルギーが発生してATPが合成される過程は、同化ではなく異化です。異化とは、大きな物質を小さな物質に分解し、その過程でエネルギーを取り出す代謝のことです。グリコーゲンが分解されてブドウ糖になり、さらにエネルギー産生に使われる流れは、典型的な異化です。同化は、逆に小さな材料から蛋白質や脂肪などの体に必要な物質を合成する働きをいいます。

(2) 代謝において、体内に摂取された栄養素が、種々の化学反応によって、細胞を構成する蛋白質などの生体に必要な物質に合成されることを異化という。

不適切です。栄養素を材料として、蛋白質などの生体に必要な物質を合成することは、異化ではなく同化です。同化は、体をつくる方向の代謝と考えると理解しやすいです。たとえば、アミノ酸から筋肉や臓器を構成する蛋白質をつくる働きは同化に当たります。異化は、物質を分解してエネルギーを取り出す働きであるため、この選択肢は同化と異化を入れ替えた誤りです。

(3) エネルギー代謝率は、一定時間中に体内で消費された酸素と排出された二酸化炭素の容積比である。

不適切です。一定時間中に消費された酸素量と排出された二酸化炭素量の容積比を表すものは、呼吸商です。エネルギー代謝率は、作業によって増加した代謝量が基礎代謝量の何倍に当たるかを示す指標です。つまり、エネルギー代謝率は作業の負担度をみるための指標であり、酸素と二酸化炭素の比ではありません。用語が似ていても、呼吸商とエネルギー代謝率はまったく別の指標として区別する必要があります。

(4) 基礎代謝量は、安静時における心臓の拍動、呼吸、体温保持などに必要な代謝量で、睡眠中の測定値で表される。

不適切です。基礎代謝量は、生命維持に必要な最小限のエネルギー代謝量をいいます。心臓の拍動、呼吸、体温保持などに必要な代謝量であるという説明はおおむね正しいですが、睡眠中の測定値で表されるという部分が誤りです。基礎代謝量は、通常、早朝空腹時、覚醒状態、安静臥床、快適な室温などの一定条件下で測定されます。睡眠中は意識状態や生理機能が異なるため、基礎代謝量そのものの測定条件とはいえません。

(5) メッツ(METs)は、身体活動の強度を示す指標で、座位安静時の酸素消費量に対する運動時の酸素消費量で表される。

適切です。METsは、身体活動の強度を示す指標で、座って安静にしているときの酸素消費量を1METとして、その活動が何倍の酸素消費量に当たるかで表します。たとえば、3METsの活動であれば、座位安静時の約3倍の酸素を消費する強度の活動という意味です。運動や作業の強さを比較するときに使われる指標であり、衛生管理者試験では、エネルギー代謝率や基礎代謝量との違いを押さえておくことが重要です。

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この問題で覚えるポイント

代謝は、分解してエネルギーを取り出す異化と、材料から体に必要な物質をつくる同化に分けられます。体脂肪やグリコーゲンを分解してATPをつくる働きは異化であり、アミノ酸から蛋白質を合成する働きは同化です。ATPは体内でエネルギーをやり取りするための物質で、筋収縮や体温保持などさまざまな生命活動に使われます。基礎代謝量は、生命維持に最低限必要な代謝量であり、心拍、呼吸、体温保持などに必要なエネルギーを指します。測定条件は睡眠中ではなく、覚醒した安静状態である点が重要です。呼吸商は、排出された二酸化炭素量を消費された酸素量で割った比であり、エネルギー代謝率とは別の指標です。エネルギー代謝率は、作業による代謝量の増加を基礎代謝量と比較して示す指標です。METsは、座位安静時の酸素消費量を1として、身体活動の強度を何倍かで表す指標です。試験では、同化と異化、呼吸商とエネルギー代謝率、基礎代謝量とMETsのように、似た用語の定義を入れ替えて出題されることが多いため、言葉の意味を対にして覚えると正誤判断がしやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題の大きなひっかけは、同化と異化の意味を逆にしている点です。分解してエネルギーを得る働きは異化、合成して体をつくる働きは同化です。日常感覚では、エネルギーを生み出す働きが前向きなイメージに見えるため、同化と誤解しやすいですが、試験では分解か合成かで判断します。また、エネルギー代謝率を酸素と二酸化炭素の容積比とする誤りも典型的です。酸素消費量と二酸化炭素排出量の比は呼吸商であり、エネルギー代謝率ではありません。基礎代謝量については、安静時という言葉から睡眠中を連想させる作りになっていますが、基礎代謝量は覚醒した安静状態で測定される点に注意が必要です。METsは座位安静時を基準にした身体活動強度の指標であり、ここは正しい記述です。このテーマでは、文章の前半だけが正しく、後半で用語をすり替える問題が多いため、最後まで読んで定義が一致しているか確認することが大切です。

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