出典:第一種衛生管理者2021年(令和3年度)4月公表問題|労働生理第42問
問題
抗体に関する次の文中の( )内に入れるAからCの語句の組合せとして、適切なものは以下の選択肢のうちどれか。
「抗体とは、体内に入ってきた( A )に対して( B )免疫において作られる( C )と呼ばれる蛋白質のことで、( A )に特異的に結合し、( A )の働きを抑える働きがある」。
(1) A:化学物質 B:体液性 C:アルブミン
(2) A:化学物質 B:細胞性 C:免疫グロブリン
(3) A:抗原 B:体液性 C:アルブミン
(4) A:抗原 B:体液性 C:免疫グロブリン
(5) A:抗原 B:細胞性 C:アルブミン
第1種衛生管理者|抗体の働き・体液性免疫・免疫グロブリンの基礎を解説
抗体とは、体内に侵入した抗原に対して、体液性免疫の働きによって作られる免疫グロブリンという蛋白質です。抗体は抗原に特異的に結合し、抗原の働きを抑えたり、排除されやすくしたりします。正解は(4)です。抗体の問題では、「抗原」「体液性免疫」「免疫グロブリン」の3語を正確に結び付けて覚えることが重要です。

(1) A:化学物質 B:体液性 C:アルブミン
不適切です。抗体が反応する相手は、一般的な化学物質ではなく抗原です。抗原とは、体内で免疫反応を引き起こす物質のことです。また、アルブミンは血漿蛋白質の一種で、血液の浸透圧の維持などに関与しますが、抗体そのものではありません。体液性免疫という部分は正しいですが、AとCが誤っています。
(2) A:化学物質 B:細胞性 C:免疫グロブリン
不適切です。免疫グロブリンという部分は正しいですが、抗体は抗原に対して作られるものであり、単に化学物質に対して作られるものではありません。また、抗体が中心となって働く免疫は体液性免疫です。細胞性免疫は、主にTリンパ球などが関与し、感染細胞などを直接攻撃する免疫反応です。
(3) A:抗原 B:体液性 C:アルブミン
不適切です。抗体は抗原に対して体液性免疫で作られるという点は正しいです。ただし、抗体はアルブミンではなく免疫グロブリンです。アルブミンは血漿中に多く含まれる蛋白質で、血液の浸透圧維持や物質の運搬に関係します。抗体の本体とは異なるため、この組合せは誤りです。
(4) A:抗原 B:体液性 C:免疫グロブリン
適切です。抗体は、体内に入ってきた抗原に対して、体液性免疫により作られる免疫グロブリンという蛋白質です。抗体は特定の抗原に結合する性質を持ち、その抗原の働きを抑えたり、白血球などによる処理を受けやすくしたりします。抗体に関する基本定義を正しく表しているため、この組合せが正解です。
(5) A:抗原 B:細胞性 C:アルブミン
不適切です。抗原という部分は正しいですが、抗体が中心となる免疫は細胞性免疫ではなく体液性免疫です。また、抗体はアルブミンではなく免疫グロブリンです。細胞性免疫はTリンパ球が主に関与する免疫であり、抗体を産生して抗原に結合する仕組みとは区別して覚える必要があります。
この問題で覚えるポイント
抗体は、抗原に対して作られる免疫グロブリンという蛋白質です。抗原とは、体内で免疫反応を引き起こす異物やその成分のことです。抗体は抗原に特異的に結合し、抗原の毒性や感染力を弱めたり、白血球などに処理されやすくしたりします。抗体が主役となる免疫は体液性免疫です。体液性免疫では、Bリンパ球が形質細胞に分化し、抗体を産生します。細胞性免疫は、主にTリンパ球が関与し、感染細胞や異常細胞を攻撃する免疫です。アルブミンは血漿蛋白質の一種で、血液の浸透圧の維持や物質の運搬に関与しますが、抗体ではありません。試験では、抗体、抗原、体液性免疫、免疫グロブリン、アルブミン、細胞性免疫の区別が正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、免疫に関係しそうな語句を混ぜて、正しい組合せを選びにくくしている点です。特に「化学物質」は広い意味では体内に入る異物のように見えますが、抗体の説明では「抗原」と表現するのが正確です。また、「体液性免疫」と「細胞性免疫」はどちらも免疫の仕組みなので混同しやすいですが、抗体が関与するのは体液性免疫です。さらに、アルブミンも免疫グロブリンも蛋白質であるため混同しやすいですが、抗体は免疫グロブリンであり、アルブミンではありません。免疫分野では、言葉の雰囲気で選ばず、「抗体=抗原に対する体液性免疫の免疫グロブリン」と固定して覚えることが大切です。
