【第一種衛生管理者過去問】2021年4月公表問題|問20|生物学的モニタリングと尿中代謝物の組合せ一覧|労働衛生(有害業務)を解説

出典:第一種衛生管理者2021年(令和3年度)4月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの)第20問

問題

有害化学物質とその生物学的モニタリング指標として用いられる尿中の代謝物等との組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。

(1) 鉛 ―――――――――― デルタアミノレブリン酸

(2) スチレン ――――――― メチルホルムアミド

(3) トルエン ――――――― 馬尿酸

(4) ノルマルヘキサン ――― 2, 5−ヘキサンジオン

(5) トリクロロエチレン ―― トリクロロ酢酸

第1種衛生管理者|生物学的モニタリングと尿中代謝物の組合せ一覧を解説

有害化学物質にばく露されると、体内で代謝され、尿中に特有の代謝物として排出されるものがあります。生物学的モニタリングでは、この尿中代謝物などを測定して、体内に取り込まれた有害物質の程度を確認します。答えは(2)です。スチレンの代表的な尿中代謝物はマンデル酸やフェニルグリオキシル酸であり、メチルホルムアミドはスチレンの指標ではありません。

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(1) 鉛 ―――――――――― デルタアミノレブリン酸

適切です。鉛にばく露されると、ヘム合成に関係する酵素が阻害され、デルタアミノレブリン酸が体内に蓄積しやすくなります。その結果、尿中デルタアミノレブリン酸が鉛ばく露の生物学的モニタリング指標として用いられます。鉛は貧血、腹部症状、神経障害などと関連するため、尿中代謝物だけでなく血液検査なども含めて管理される重要物質です。

(2) スチレン ――――――― メチルホルムアミド

不適切です。スチレンの生物学的モニタリング指標として用いられる尿中代謝物は、主にマンデル酸やフェニルグリオキシル酸です。メチルホルムアミドは、スチレンの代謝物ではありません。スチレンは体内で代謝されると、マンデル酸などとして尿中に排出されるため、試験では「スチレン=マンデル酸、フェニルグリオキシル酸」と結び付けて覚えることが大切です。

(3) トルエン ――――――― 馬尿酸

適切です。トルエンは体内で代謝され、主に馬尿酸として尿中に排出されます。そのため、尿中馬尿酸はトルエンばく露の生物学的モニタリング指標として知られています。ただし、馬尿酸は食品などの影響を受けることもあるため、実務上は測定結果の解釈に注意が必要です。試験対策としては、トルエンと馬尿酸の組合せを確実に覚えておくと判断しやすくなります。

(4) ノルマルヘキサン ――― 2, 5−ヘキサンジオン

適切です。ノルマルヘキサンは体内で代謝され、2, 5−ヘキサンジオンとして尿中に排出されます。2, 5−ヘキサンジオンは末梢神経障害との関連が重要で、ノルマルヘキサン中毒では手足のしびれや筋力低下などが問題になります。試験では、ノルマルヘキサンは「末梢神経障害」と「尿中2, 5−ヘキサンジオン」をセットで押さえると理解しやすいです。

(5) トリクロロエチレン ―― トリクロロ酢酸

適切です。トリクロロエチレンは体内で代謝され、トリクロロ酢酸などとして尿中に排出されます。そのため、尿中トリクロロ酢酸はトリクロロエチレンばく露の指標として用いられます。トリクロロエチレンは有機溶剤の一種であり、中枢神経症状、肝機能障害、腎機能障害などにも関係するため、代謝物の組合せだけでなく健康障害の特徴も合わせて整理しておくと得点につながります。

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この問題で覚えるポイント

生物学的モニタリングでは、作業環境中の濃度ではなく、体内に取り込まれた有害物質の影響を尿中代謝物などから確認します。鉛は尿中デルタアミノレブリン酸、トルエンは尿中馬尿酸、ノルマルヘキサンは尿中2, 5−ヘキサンジオン、トリクロロエチレンは尿中トリクロロ酢酸、スチレンは尿中マンデル酸やフェニルグリオキシル酸と覚えるのが基本です。有機溶剤では、物質名と尿中代謝物の対応がそのまま正誤判断に直結します。特に、トルエンと馬尿酸、ノルマルヘキサンと2, 5−ヘキサンジオン、スチレンとマンデル酸は頻出の組合せです。鉛は有機溶剤ではありませんが、ヘム合成障害によりデルタアミノレブリン酸が増える点が重要です。名称が似ている代謝物を丸暗記するだけでなく、「どの物質が体内で何に変わって尿に出るのか」という対応関係で整理すると、入れ替え問題に強くなります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、もっともらしい尿中代謝物名を別の化学物質に組み合わせている点です。メチルホルムアミドという名称は化学物質らしく見えるため、スチレンの代謝物だと誤認しやすくなっています。生物学的モニタリングの問題では、選択肢の文章自体が短く、説明もないため、知識があいまいだと「聞いたことがある名前」を正しいと判断してしまいがちです。特に有機溶剤は、トルエン、スチレン、ノルマルヘキサン、トリクロロエチレンなど名称が並ぶため、代謝物を混同しやすい分野です。対策としては、スチレンはマンデル酸、トルエンは馬尿酸、ノルマルヘキサンは2, 5−ヘキサンジオンというように、代表的な組合せを固定して覚えることが大切です。

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