出典:第一種衛生管理者2022年(令和4年度)4月公表問題|労働生理第39問
問題
次のうち、正常値に男女による差がないとされているものはどれか。
(1) 赤血球数
(2) ヘモグロビン濃度
(3) ヘマトクリット値
(4) 白血球数
(5) 基礎代謝量
第1種衛生管理者|血液検査の正常値・赤血球・白血球・基礎代謝の基準値を解説
血液検査や生理機能の基準値には、男女差がみられるものと、男女差がほとんどないものがあります。答えは白血球数です。白血球数は感染や炎症、免疫反応などに関係する血液成分であり、正常値は男女で大きな差がないとされています。赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値、基礎代謝量は、体格、筋肉量、男性ホルモンの影響などにより、一般に男性の方が高い傾向があります。

(1) 赤血球数
不適切です。赤血球数は、血液中に含まれる赤血球の数を示す値で、一般に男女差があります。赤血球は酸素を運搬する働きを担っており、男性は女性より筋肉量が多く、酸素需要も高くなりやすいため、赤血球数は男性の方が高い傾向があります。また、男性ホルモンには赤血球の産生を促す作用があるため、この点からも男女差が生じます。正常値に男女差がないものとしては適切ではありません。
(2) ヘモグロビン濃度
不適切です。ヘモグロビンは赤血球中に含まれる色素たんぱく質で、酸素と結合して全身へ酸素を運ぶ役割があります。ヘモグロビン濃度も赤血球数と同様に、一般に男性の方が女性より高い傾向があります。女性では月経による鉄の喪失なども関係し、男性より低めになることがあります。血液検査では、貧血の評価に重要な項目ですが、正常値には男女差があると覚えておく必要があります。
(3) ヘマトクリット値
不適切です。ヘマトクリット値は、血液全体に占める赤血球の容積の割合を示す値です。赤血球数やヘモグロビン濃度と密接に関係しているため、ヘマトクリット値も一般に男性の方が女性より高い傾向があります。赤血球に関係する代表的な検査項目である赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値は、まとめて男女差がある項目として整理すると覚えやすいです。
(4) 白血球数
適切です。白血球数は、血液中に含まれる白血球の数を示す値で、感染防御や免疫反応に関わります。白血球には好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球などがあり、体内に侵入した病原体への防御や炎症反応に関係します。白血球数は感染症、炎症、ストレス、薬剤などで変動しますが、正常値そのものについては男女による明確な差がないとされています。そのため、この問題の正解です。
(5) 基礎代謝量
不適切です。基礎代謝量は、生命を維持するために最低限必要なエネルギー消費量をいいます。心臓の拍動、呼吸、体温維持、臓器の活動などに使われるエネルギーです。基礎代謝量は体格や筋肉量の影響を受けるため、一般に男性の方が女性より高い傾向があります。血液検査の項目ではありませんが、労働生理では男女差がある代表的な生理的指標として問われることがあります。
この問題で覚えるポイント
正常値に男女差がないものとして代表的なのは白血球数です。赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値は、いずれも赤血球や酸素運搬能力に関係する項目で、一般に男性の方が高い傾向があります。基礎代謝量も筋肉量や体格の影響を受けるため、男性の方が高くなりやすい項目です。試験では、赤血球系の検査値は男女差あり、白血球数は男女差なし、と整理すると正誤判断がしやすくなります。白血球数は感染や炎症で増減するため個人差や体調による変動はありますが、基準値として男女差を問われた場合は、男女差がないものとして扱います。
ひっかけポイント
この問題では、血液検査の項目が並んでいるため、赤血球数と白血球数を同じように考えてしまう点がひっかけです。どちらも血液中の細胞数ですが、赤血球は酸素運搬に関係し、体格や筋肉量、男性ホルモンの影響を受けやすいため男女差があります。白血球は免疫や炎症に関係する細胞であり、正常値に明確な男女差はないとされます。また、ヘモグロビン濃度とヘマトクリット値は名称が難しく別々に見えますが、どちらも赤血球系の指標なので男女差がある項目です。赤血球系は男女差あり、白血球数は男女差なしという対比で覚えると、同じ形式の問題にも対応しやすくなります。
