出典:第一種衛生管理者2022年(令和4年度)4月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの)第9問
問題
有害業務とそれに常時従事する労働者に対して特別の項目について行う健康診断の項目の一部との組合せとして、法令上、正しいものは次のうちどれか。
(1) 有機溶剤業務 ―――――――― 尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査
(2) 放射線業務 ――――――――― 尿中の潜血の有無の検査
(3) 鉛業務 ――――――――――― 尿中のマンデル酸の量の検査
(4) 石綿等を取り扱う業務 ―――― 尿中又は血液中の石綿の量の検査
(5) 潜水業務 ―――――――――― 四肢の運動機能の検査
第1種衛生管理者|特殊健康診断の対象業務と健康診断項目一覧を解説
特殊健康診断では、有害業務ごとに身体へ影響が出やすい部位や、体内に取り込まれた物質の代謝産物などを確認します。答えは(5)です。潜水業務では、高気圧環境や減圧に伴う障害を確認するため、四肢の運動機能の検査が項目に含まれます。ほかの選択肢は、検査項目が別の有害業務のものと入れ替えられているため誤りです。
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(1) 有機溶剤業務 ―――――――― 尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査
不適切です。尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査は、主に鉛業務に関係する健康診断項目です。鉛は血液や造血機能に影響を及ぼし、ヘム合成を妨げるため、尿中のデルタアミノレブリン酸が検査項目として扱われます。有機溶剤業務では、取り扱う有機溶剤の種類に応じて、尿中の代謝物の検査などが行われます。たとえば、トルエンであれば尿中馬尿酸、キシレンであれば尿中メチル馬尿酸、スチレンであれば尿中マンデル酸などが代表的です。
(2) 放射線業務 ――――――――― 尿中の潜血の有無の検査
不適切です。放射線業務における健康診断では、被ばくによる血液、皮膚、眼などへの影響を確認することが中心です。放射線は造血機能や水晶体、皮膚に影響を及ぼす可能性があるため、血液検査や白内障に関する眼の検査、皮膚の検査などが重要になります。尿中の潜血の有無の検査は、放射線業務の代表的な特殊健康診断項目ではありません。尿検査という言葉だけで判断せず、どの有害因子がどの臓器や機能に影響するかを結び付けて覚えることが大切です。
(3) 鉛業務 ――――――――――― 尿中のマンデル酸の量の検査
不適切です。尿中のマンデル酸の量の検査は、有機溶剤の一部、特にスチレンなどに関連する検査項目です。鉛業務では、血液中の鉛の量や尿中デルタアミノレブリン酸の量などが重要です。鉛は体内に吸収されると造血機能や神経系などに影響を与えるため、その影響を反映する検査項目が定められています。マンデル酸という名称は有機溶剤の代謝物として出題されやすいため、鉛と結び付けないよう注意が必要です。
(4) 石綿等を取り扱う業務 ―――― 尿中又は血液中の石綿の量の検査
不適切です。石綿による健康障害では、肺がん、中皮腫、石綿肺など、主に呼吸器への影響が問題になります。そのため、石綿健康診断では、業務歴の調査、胸部エックス線検査、呼吸器症状の有無の確認などが中心になります。石綿は尿中や血液中の量を測定して管理するタイプの有害物ではありません。石綿は吸入によって肺や胸膜に影響するという特徴を押さえると、尿中又は血液中の石綿の量という表現が不自然だと判断できます。
(5) 潜水業務 ―――――――――― 四肢の運動機能の検査
適切です。潜水業務では、高気圧環境での作業や浮上時の減圧により、減圧症などの健康障害が問題になります。減圧症では、関節痛、神経障害、運動機能障害などが生じることがあるため、四肢の運動機能の検査が重要になります。潜水業務の特殊健康診断では、呼吸器、循環器、耳、神経系、運動機能など、高気圧作業に関連する身体機能を確認します。業務内容と身体への影響が正しく対応しているため、この組合せは法令上正しいです。
この問題で覚えるポイント
特殊健康診断は、有害業務ごとに健康障害が起こりやすい部位や、体内で確認すべき指標が異なります。有機溶剤業務では、溶剤の種類に応じた尿中代謝物が問われやすく、トルエンは尿中馬尿酸、キシレンは尿中メチル馬尿酸、スチレンは尿中マンデル酸と結び付けて覚えると整理しやすいです。鉛業務では、血液中の鉛の量や尿中デルタアミノレブリン酸の量が重要です。放射線業務では、血液、皮膚、眼への影響を確認する検査が中心です。石綿等を取り扱う業務では、肺や胸膜への影響を確認するため、胸部エックス線検査や呼吸器症状の確認が重要になります。潜水業務では、高気圧や減圧による障害を確認するため、四肢の運動機能、神経系、呼吸器、循環器などに関する検査が関係します。正誤判断では、検査名を丸暗記するだけでなく、有害因子がどの臓器や機能に影響するかを結び付けることが得点につながります。
ひっかけポイント
この問題は、特殊健康診断の検査項目を別の有害業務に入れ替えて誤答を誘う形式です。尿中デルタアミノレブリン酸、尿中マンデル酸、尿中潜血など、いずれも検査項目らしい言葉で並んでいるため、見覚えだけで選ぶと間違えやすくなります。特に、鉛業務と有機溶剤業務は尿検査に関する項目が多く、混同しやすい分野です。石綿についても、有害物質だから尿や血液で量を測るのではないかと考えてしまうのが思考の罠です。石綿は吸入による呼吸器障害が中心であり、尿中や血液中の石綿量を測るという発想では判断しません。特殊健康診断では、業務名、有害因子、健康障害の出やすい部位、検査項目をセットで覚えると、同じ形式の入れ替え問題にも対応しやすくなります。
