出典:第一種衛生管理者2022年(令和4年度)4月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの)第7問
問題
労働安全衛生規則の衛生基準について、誤っているものは次のうちどれか。
(1) 坑内における気温は、原則として、37℃以下にしなければならない。
(2) 屋内作業場に多量の熱を放散する溶融炉があるときは、加熱された空気を直接屋外に排出し、又はその放射するふく射熱から労働者を保護する措置を講じなければならない。
(3) 炭酸ガス(二酸化炭素)濃度が0.15%を超える場所には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。
(4) 著しく暑熱又は多湿の作業場においては、坑内等特殊な作業場でやむを得ない事由がある場合を除き、休憩の設備を作業場外に設けなければならない。
(5) 廃棄物の焼却施設において焼却灰を取り扱う業務(設備の解体等に伴うものを除く。)を行う作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における空気中のダイオキシン類の濃度を測定しなければならない。
第1種衛生管理者|労働安全衛生規則の衛生基準・暑熱環境・作業環境管理を解説
労働安全衛生規則における作業場の衛生基準では、坑内の気温、暑熱作業場での休憩設備、熱源からの保護、二酸化炭素濃度、ダイオキシン類の測定などが定められています。答えは(3)です。二酸化炭素濃度については、通常の作業場の空気環境基準として0.5%以下とすることが求められていますが、「0.15%を超える場所への立入禁止と表示」という規定ではありません。0.15%という数値は事務所衛生基準規則などで出てくる基準と混同しやすく、ここが本問の重要なひっかけです。
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(1) 坑内における気温は、原則として、37℃以下にしなければならない。
適切です。坑内は換気が悪く、熱がこもりやすい作業環境です。そのため、労働安全衛生規則では、坑内における気温について原則として37℃以下に保つことが求められています。暑熱環境では、熱中症、脱水、判断力低下、疲労の蓄積などが起こりやすくなるため、気温管理は労働者の健康保持に直結します。試験では「坑内」「37℃以下」という組合せを押さえておくと判断しやすくなります。
(2) 屋内作業場に多量の熱を放散する溶融炉があるときは、加熱された空気を直接屋外に排出し、又はその放射するふく射熱から労働者を保護する措置を講じなければならない。
適切です。溶融炉のように多量の熱を放散する設備が屋内作業場にある場合、作業場内の温度上昇やふく射熱による身体への負担が問題になります。そのため、加熱された空気を屋外へ排出する換気措置や、遮熱板などによってふく射熱から労働者を保護する措置が必要です。ここで重要なのは、単に室温を下げるだけでなく、熱源から発生するふく射熱そのものへの対策も求められる点です。
(3) 炭酸ガス(二酸化炭素)濃度が0.15%を超える場所には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。
不適切です。二酸化炭素濃度について、労働安全衛生規則では、労働者を常時就業させる屋内作業場の気積や換気などに関連して、空気環境を適切に保つことが求められますが、「0.15%を超える場所には関係者以外立入禁止」という規定ではありません。0.15%という数値は、事務所などの空気環境管理で見かける二酸化炭素濃度の基準と結びつけて覚えている受験者を迷わせやすい数値です。立入禁止や表示が必要になるのは、酸素欠乏や有害ガスなど、より危険性の高い場所に関する規定と混同しないことが大切です。
(4) 著しく暑熱又は多湿の作業場においては、坑内等特殊な作業場でやむを得ない事由がある場合を除き、休憩の設備を作業場外に設けなければならない。
適切です。著しく暑熱または多湿の作業場では、作業中に体温が上昇し、発汗によって水分や塩分が失われやすくなります。そのため、労働者が身体を休め、体温を下げられる休憩設備を作業場外に設けることが求められます。作業場内に休憩場所を設けても、暑熱や多湿の影響を受け続けるため、十分な回復ができません。ただし、坑内など特殊な作業場でやむを得ない場合は例外があります。原則は「作業場外」、例外は「坑内等でやむを得ない場合」と整理しておくとよいです。
(5) 廃棄物の焼却施設において焼却灰を取り扱う業務(設備の解体等に伴うものを除く。)を行う作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における空気中のダイオキシン類の濃度を測定しなければならない。
適切です。廃棄物の焼却施設では、焼却灰にダイオキシン類が含まれるおそれがあります。焼却灰を取り扱う作業では、粉じんとともにダイオキシン類にばく露する可能性があるため、作業環境中の濃度を定期的に測定する必要があります。測定頻度は6か月以内ごとに1回です。なお、設備の解体等に伴う業務は別の規制として扱われるため、本選択肢では除かれています。試験では「焼却灰」「ダイオキシン類」「6か月以内ごとに1回」という組合せが重要です。
この問題で覚えるポイント
労働安全衛生規則の衛生基準では、作業場の空気、温度、湿度、有害物質へのばく露を管理するための基準が定められています。坑内の気温は原則37℃以下、多量の熱を放散する設備がある屋内作業場では排熱やふく射熱対策が必要、著しく暑熱又は多湿の作業場では原則として作業場外に休憩設備を設けます。廃棄物焼却施設で焼却灰を取り扱う作業場では、空気中のダイオキシン類濃度を6か月以内ごとに1回測定します。二酸化炭素濃度については、数値そのものだけでなく、その数値がどの法令、どの場所、どの措置に関係するものかを区別して覚える必要があります。特に「0.15%」という数値を見たときに、ただちに立入禁止や表示義務と結びつけないことが正誤判断の鍵になります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、二酸化炭素濃度の数値と措置内容を組み合わせて誤った文章にしている点です。0.15%という数値は空気環境の基準として見覚えがあるため、受験者は「数値がそれらしい」と感じて正しいと判断しがちです。しかし、法令問題では、数値だけでなく「どの場所で」「どの対象に」「どの措置が必要か」まで一致して初めて正しい記述になります。また、暑熱環境、坑内、焼却灰、ダイオキシン類などはそれぞれ別の管理基準を持つため、似た衛生基準としてまとめて覚えるだけでは不十分です。「数値が合っていそうでも、措置が違う」というパターンは衛生管理者試験でよく出るため、基準値と義務内容をセットで確認する習慣をつけることが大切です。
