出典:第一種衛生管理者2022年(令和4年度)4月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの)第4問
問題
次の特定化学物質を製造しようとするとき、労働安全衛生法に基づく厚生労働大臣の許可を必要としないものはどれか。
(1) インジウム化合物
(2) ベンゾトリクロリド
(3) ジアニシジン及びその塩
(4) ベリリウム及びその化合物
(5) アルファ−ナフチルアミン及びその塩
第1種衛生管理者|特定化学物質の製造許可と労働安全衛生法を解説
特定化学物質のうち、製造に厚生労働大臣の許可が必要な物質を判別する問題です。答えは(1)インジウム化合物です。インジウム化合物は特定化学物質ではありますが、労働安全衛生法に基づく製造許可が必要な物質には該当しません。製造許可が必要となるのは、特に重い健康障害を生じるおそれがある一定の化学物質であり、ベンゾトリクロリド、ジアニシジン及びその塩、ベリリウム及びその化合物、アルファ−ナフチルアミン及びその塩などが該当します。
を解説する画像__1syu-2022-04-houreiyugai-q4.webp)
(1) インジウム化合物
適切です。インジウム化合物は、労働安全衛生法に基づく厚生労働大臣の製造許可を必要としないため、本問の正解です。インジウム化合物は、吸入ばく露による肺障害などが問題となる有害な化学物質であり、特定化学物質として作業環境管理や健康管理の対象になります。しかし、特定化学物質であることと、製造許可が必要であることは同じではありません。試験では、特定化学物質の中でも、製造そのものに厚生労働大臣の許可が必要なものを区別できるかが問われます。インジウム化合物は有害性が高い物質として管理対象になりますが、製造許可を要する代表的な物質には含まれません。
(2) ベンゾトリクロリド
不適切です。ベンゾトリクロリドは、製造しようとするときに厚生労働大臣の許可が必要な物質に該当します。ベンゾトリクロリドは発がん性などの重大な健康障害のおそれがある化学物質として、厳しい規制を受けます。労働安全衛生法では、特に危険性又は有害性が高い一定の物質について、事業者が自由に製造できないようにし、あらかじめ厚生労働大臣の許可を受ける仕組みを設けています。したがって、許可を必要としないものを選ぶ本問では、ベンゾトリクロリドは正解になりません。
(3) ジアニシジン及びその塩
不適切です。ジアニシジン及びその塩は、製造に厚生労働大臣の許可が必要な物質です。ジアニシジン類は、発がん性が問題となる芳香族アミン系の化学物質として知られています。このような物質は、労働者がばく露すると重い健康障害を生じるおそれがあるため、製造段階から国の許可制によって管理されます。名称がやや専門的で覚えにくいですが、ジアニシジン及びその塩は製造許可対象物質として押さえておく必要があります。
(4) ベリリウム及びその化合物
不適切です。ベリリウム及びその化合物は、製造に厚生労働大臣の許可が必要な物質です。ベリリウムは、吸入により肺に重い障害を起こすことがあり、慢性ベリリウム症などの健康障害が問題になります。また、発がん性も重視される物質です。そのため、単に作業中の取扱いを管理するだけでなく、製造しようとする段階で厚生労働大臣の許可が必要とされています。ベリリウム及びその化合物は、試験でも製造許可対象として出題されやすい重要物質です。
(5) アルファ−ナフチルアミン及びその塩
不適切です。アルファ−ナフチルアミン及びその塩は、製造に厚生労働大臣の許可が必要な物質です。アルファ−ナフチルアミンは、芳香族アミン系の化学物質で、発がん性が問題となる代表的な物質の一つです。特に、同じ芳香族アミン系の名称は試験で混同しやすいため注意が必要です。アルファ−ナフチルアミン及びその塩は、重大な健康障害を防止するため、製造段階から厳格に規制される物質に含まれます。
この問題で覚えるポイント
特定化学物質は、すべてが製造許可の対象になるわけではありません。試験では、特定化学物質という大きな分類と、その中でも製造に厚生労働大臣の許可が必要な物質を区別することが重要です。製造許可が必要な物質としては、ベンゾトリクロリド、ジアニシジン及びその塩、ベリリウム及びその化合物、アルファ−ナフチルアミン及びその塩などを押さえます。インジウム化合物は有害性があり、特定化学物質として管理対象にはなりますが、製造許可を必要とする物質ではありません。正誤判断では、「有害な物質だから製造許可が必要」と単純に考えず、製造許可対象として法令上列挙されているかどうかで判断します。
ひっかけポイント
この問題の罠は、「特定化学物質」と聞くと、すべて製造許可が必要だと思ってしまう点です。インジウム化合物も健康障害のおそれがある重要な管理対象なので、危険な物質なら許可が必要だろうと考えると誤答しやすくなります。法令問題では、危険性のイメージではなく、どの規制に該当するかを正確に分けて覚える必要があります。特に、ベンゾトリクロリド、ジアニシジン、ベリリウム、アルファ−ナフチルアミンのように、製造許可対象として頻出の物質名と、管理対象ではあるが製造許可までは不要な物質名を比較して覚えることが大切です。
