出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|給水および排水の管理第122問
問題
給湯設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 貫流ボイラは、煙道を備えている。
(2) 貯蔵式湯沸器は、減圧弁を備えている。
(3) 真空式温水発生機は、減圧蒸気室を備えている。
(4) 太陽熱利用温水器には、集熱器と貯湯槽が一体で構成されているものがある。
(5) 潜熱回収型給湯器は、排気ガスの潜熱を回収し、給水の予熱として利用する。
ビル管過去問|給湯設備の機器と特徴を解説
この問題は、給湯設備に用いられる代表的な機器の構造や働きの特徴を正しく理解しているかを問う問題です。機器の名称だけを暗記していても解けず、それぞれの機器がどのような仕組みで熱をつくり、どのような安全装置や構成要素をもつかまで押さえておくことが大切です。不適当なのは、貯蔵式湯沸器は減圧弁を備えているとした記述です。貯蔵式湯沸器で重要なのは、加熱による水の膨張や圧力上昇に対応するための安全装置であり、代表的には逃し弁や安全弁です。減圧弁は必要に応じて設けられることはありますが、貯蔵式湯沸器の本質的な特徴として断定するのは不適切です。

(1) 貫流ボイラは、煙道を備えている。
適切です。貫流ボイラは、燃焼によって発生した高温の燃焼ガスの熱を水に伝えて蒸気や温水をつくる機器です。そのため、燃焼後のガスを適切に屋外へ排出するための煙道を備えます。ボイラである以上、燃焼と排気の仕組みをもつのが基本であり、煙道はその重要な構成要素です。貫流ボイラは保有水量が少なく、起動が早いことが特徴としてよく問われますが、だからといって排気設備が不要になるわけではありません。ボイラと煙道はセットで理解しておくことが大切です。
(2) 貯蔵式湯沸器は、減圧弁を備えている。
不適切です。貯蔵式湯沸器は、タンク内に湯をためておく方式のため、加熱によって内部圧力が上がることがあります。このため、機器として重要なのは過大な圧力上昇を防ぐための逃し弁や安全弁です。減圧弁は給水圧が高い場合に圧力を調整するために設けることがありますが、貯蔵式湯沸器の代表的な特徴として一律に備えると表現するのは適切ではありません。この選択肢は、安全確保に本質的な装置と、条件に応じて設ける圧力調整用の装置を混同させる内容になっています。試験では「その機器に固有で本質的な装置なのか」を意識して読むことが大切です。
(3) 真空式温水発生機は、減圧蒸気室を備えている。
適切です。真空式温水発生機は、内部を真空に近い低圧状態にすることで、水を低い温度で沸騰させ、その蒸気の熱を利用して温水をつくる機器です。そのため、減圧された蒸気室を備える構造が特徴です。内部圧力を下げることで高温高圧ボイラのような危険性を抑えやすく、比較的安全性が高い方式として知られています。名称に「真空」とあるだけでなく、実際に低圧環境をつくる空間が構造上必要であることを押さえておくと判断しやすくなります。
(4) 太陽熱利用温水器には、集熱器と貯湯槽が一体で構成されているものがある。
適切です。太陽熱利用温水器にはさまざまな形式がありますが、住宅用などでは、集熱器と貯湯槽が一体となった自然循環式のものが見られます。太陽で温められた水や熱媒が比重差によって循環する仕組みを利用するため、比較的単純な構造で運転できるのが特徴です。一方で、集熱器と貯湯槽を分離した強制循環式などもあります。つまり、太陽熱利用温水器には一体型のものがある、という記述は正しい内容です。設備の問題では、ある形式が存在するかどうかを問う表現にも注意が必要です。
(5) 潜熱回収型給湯器は、排気ガスの潜熱を回収し、給水の予熱として利用する。
適切です。潜熱回収型給湯器は、従来なら排気とともに失われていた水蒸気の凝縮潜熱まで回収して利用する高効率な給湯器です。排気ガスを熱交換器で冷やし、その熱を給水側に移して予熱することで、燃料使用量を抑えます。ここで重要なのは、単に排気の温度を利用するだけでなく、水蒸気が凝縮するときの潜熱まで回収する点です。この仕組みにより熱効率が高くなります。省エネルギー設備としてよく出題されるので、顕熱利用との違いも意識して覚えておくと役立ちます。
この問題で覚えるポイント
給湯設備の機器問題では、まず機器の名前と働きを対応させて覚えることが基本です。貫流ボイラは保有水量が少なく、起動が早く、燃焼設備として煙道を備えることがポイントです。貯蔵式湯沸器はタンクに湯をためる方式で、圧力上昇に対応するため逃し弁や安全弁が重要になります。真空式温水発生機は内部を減圧し、低温で沸騰させる仕組みであるため、減圧蒸気室が特徴です。太陽熱利用温水器は、集熱器と貯湯槽が一体の自然循環式と、分離した強制循環式の両方があることを区別しておくと得点しやすくなります。潜熱回収型給湯器は、排気ガス中の水蒸気が凝縮するときの潜熱を回収し、給水予熱に使うことで高効率化している点が重要です。試験では、安全装置、圧力調整装置、熱交換の仕組み、構造上の特徴の違いがよく問われるため、名称だけでなく、なぜその装置が必要かまで理解しておくことが正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、機器に付属する装置の名称がどれももっともらしく見える点にあります。特に、減圧弁、逃し弁、安全弁はどれも圧力に関係するため、曖昧に覚えていると混同しやすいです。減圧弁は給水圧を調整する装置であり、逃し弁や安全弁は異常な圧力上昇から機器を守る装置です。この違いを理解せずに「圧力に関係するから正しそう」と考えると誤答しやすくなります。また、真空式温水発生機のように、名前から構造を推測できる機器は、名称の意味を正しく理解していれば解けますが、語感だけで判断すると不安になります。さらに、太陽熱利用温水器のように「そのような形式もある」という出題では、すべてがその形式だと誤解していると迷いやすくなります。試験では、機器ごとの本質的な特徴なのか、条件によって付く装置なのかを切り分けて読むことが、ひっかけを避けるコツです。