【ビル管過去問】令和3年度 問題121|給湯循環配管の熱損失計算|循環流量・温度差・単位長さ当たり熱損失を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|給水および排水の管理第121問

問題

循環配管の管長が100mの給湯設備で給湯循環流量を10L/minとした場合、循環配管からの単位長さ当たりの熱損失の値として、最も近いものは次のうちどれか。

ただし、加熱装置における給湯温度と返湯温度の差を5°Cとする。算定式は次式を使う。

Q =0.0143× HL ÷ Δt

Q:循環流量 [L/min]  HL:循環配管からの熱損失[W]  Δt:加熱装置における給湯温度と返湯温度との差[°C]

(1) 0.5W/m

(2) 7.0W/m

(3) 35W/m

(4) 140W/m

(5) 3,500W/m

 

 

 

ビル管過去問|給湯循環配管の熱損失計算|循環流量・温度差・単位長さ当たり熱損失を解説

この問題は、給湯循環配管における熱損失を算定式から正しく求められるかを問う計算問題です。まず算定式に循環流量10L/min、温度差5°Cを代入して循環配管全体の熱損失HLを求め、その後に管長100mで割って単位長さ当たりの熱損失を出します。計算すると全体の熱損失は約3,500W、単位長さ当たりでは約35W/mとなるため、正しい選択肢は(3)です。試験では、全体の熱損失と1m当たりの熱損失を取り違えないことが重要です。

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(1) 0.5W/m

不適切です。算定式 Q=0.0143×HL÷Δt に数値を代入すると、10=0.0143×HL÷5 となります。これを変形すると HL=10×5÷0.0143 で、約3,496.5Wです。これは配管全体100m分の熱損失なので、単位長さ当たりに直すと 3,496.5÷100=約35W/mです。0.5W/mはこの計算結果と大きく異なっており、熱損失を極端に小さく見積もっています。公式の使い方か単位換算のどこかで誤ったと考えられます。

(2) 7.0W/m

不適切です。正しい手順は、最初に循環配管全体の熱損失HLを求め、その後に管長100mで割ることです。計算すると HLは約3,500W、したがって単位長さ当たりは約35W/mになります。7.0W/mは正解値の5分の1であり、温度差5°Cの扱いを誤ったり、計算途中で数値を取り落としたりした場合に出やすい値です。給湯循環では温度差がそのまま熱損失計算に関係するため、この値にはなりません。

(3) 35W/m

適切です。算定式 Q=0.0143×HL÷Δt に、Q=10L/min、Δt=5°Cを代入すると、10=0.0143×HL÷5 です。これをHLについて解くと、HL=10×5÷0.0143=約3,496.5Wとなります。さらに、この値は配管全体100m分の熱損失ですから、単位長さ当たりでは 3,496.5÷100=約34.97W/mとなります。したがって最も近い値は35W/mです。問題文にある「単位長さ当たり」という条件を最後まで意識できるかが正答の鍵です。

(4) 140W/m

不適切です。正しい計算結果は約35W/mであり、140W/mはその4倍に当たります。このような誤答は、全体熱損失の約3,500Wを途中で誤って25mなど別の長さで割ってしまった場合や、式変形の際に比例関係を取り違えた場合に生じやすいです。給湯循環配管の熱損失問題では、公式から全体値を出してから、指定された管長で割るという順序を崩さないことが大切です。

(5) 3,500W/m

不適切です。約3,500Wという数値自体は、算定式から求めた循環配管全体100m分の熱損失としてはほぼ正しいです。しかし問題で問われているのは「単位長さ当たり」の熱損失であるため、そのまま答えにしてはいけません。100mで割って約35W/mに直して初めて設問に合った答えになります。この選択肢は、全体熱損失と単位長さ当たり熱損失の区別ができているかを見抜くための典型的なひっかけです。

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この問題で覚えるポイント

給湯循環配管の熱損失計算では、まず算定式から配管全体の熱損失を求め、最後に管長で割って1m当たりの値に直す流れを確実に身につけることが重要です。式 Q=0.0143×HL÷Δt は、循環流量Q、熱損失HL、温度差Δtの関係を示しており、求めたい量に応じて式変形できるようにしておく必要があります。今回のように循環流量と温度差が与えられた場合は、HL=Q×Δt÷0.0143 として計算します。ここで得られるHLは配管全体の熱損失であり、単位長さ当たりの熱損失ではありません。試験では、全体量なのか、1m当たりなのか、あるいは1時間当たりなのかといった「何の単位の量か」を丁寧に確認することが得点につながります。給湯設備では、循環配管の熱損失が大きいほど加熱負荷も増えるため、保温性能や配管長さの影響も重要な知識です。計算問題に見えても、実務的には熱損失を減らす工夫と結びついていることも意識しておくと理解が深まります。

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ひっかけポイント

この問題の最大のひっかけは、算定式から求めた約3,500Wをそのまま答えにしたくなる点です。実際にはそれは100m全体の熱損失であり、設問は単位長さ当たりを問うているため、さらに100で割る必要があります。つまり、途中計算で得た正しい数値を、設問が求める形に直さずに答えてしまう思考の罠があります。また、温度差5°Cを見落としてしまったり、式の分母と分子を逆に扱ったりすると、大きくずれた数値になります。計算問題では公式を知っているだけでは不十分で、何を求める問題なのか、最後の単位は何になるのかまで確認する習慣が大切です。このタイプの問題は今後も、全体値と単位当たりの値の取り違えを狙って出題されやすいので注意が必要です。

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