【危険物取扱者乙種4類予想問題7】|問23|完全燃焼と不完全燃焼|物理・化学を解説

問題

炭化水素系の危険物を燃焼させたときの完全燃焼と不完全燃焼について、正しいものはどれか。

(1) 完全燃焼では酸素が不足するため、一酸化炭素が多量に発生する。

(2) 不完全燃焼では酸素が不足すると、すすや一酸化炭素が発生しやすい。

(3) 完全燃焼では二酸化炭素は発生せず、水だけが生成される。

(4) 不完全燃焼では酸素が十分に供給されるため、二酸化炭素だけが生成される。

(5) 完全燃焼では酸素が十分に供給されても、すすが大量に発生する。

危険物取扱者乙種4類|完全燃焼と不完全燃焼を解説

炭化水素が燃焼するときの生成物は、酸素が十分に供給されているかどうかによって異なります。酸素が十分に供給される完全燃焼では、炭化水素に含まれる炭素は主に二酸化炭素となり、水素は水となります。酸素が不足する不完全燃焼では、炭素が十分に酸化されないため、一酸化炭素やすすが発生しやすくなります。【答えは(2)です。酸素不足によって一酸化炭素やすすが生じやすくなるという、不完全燃焼の特徴を正しく示しているためです。】

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(1) 完全燃焼では酸素が不足するため、一酸化炭素が多量に発生する。

不適切です。完全燃焼は、可燃物を十分に酸化できる量の酸素が供給されている状態で起こります。炭化水素が完全燃焼すると、炭素は主に二酸化炭素となり、水素は水となります。一酸化炭素は、炭素が二酸化炭素になるまで十分に酸化されなかった場合に発生しやすい物質です。そのため、酸素不足と一酸化炭素の発生は完全燃焼ではなく、不完全燃焼の特徴です。 例えば、メタンの完全燃焼は「CH₄+2O₂→CO₂+2H₂O」と表すことができます。この反応では、メタンに含まれる炭素が二酸化炭素まで酸化されています。酸素が不足すると、炭素が十分に酸化されず、一酸化炭素やすすが生じることがあります。 一酸化炭素は無色・無臭であり、吸い込んでも気づきにくい有毒な気体です。血液中のヘモグロビンと強く結びつき、全身への酸素の運搬を妨げるため、不完全燃焼が起こりやすい火災現場や換気の悪い場所では特に注意が必要です。

(2) 不完全燃焼では酸素が不足すると、すすや一酸化炭素が発生しやすい。

適切です。不完全燃焼は、可燃物に対して酸素の供給量が不足し、可燃物を十分に酸化できない状態で起こります。炭化水素に含まれる炭素が二酸化炭素まで完全に酸化されないため、中間的な酸化物である一酸化炭素が発生したり、酸化されずに残った炭素が微細な粒子となってすすを生じたりします。 酸素の供給が少ないだけでなく、可燃性蒸気と空気が十分に混ざっていない場合、燃焼温度が低い場合、炎が冷たい物体に触れて冷却された場合などにも、不完全燃焼が起こりやすくなります。空気が周囲に存在していても、燃焼部分へ酸素が十分に届かなければ完全燃焼にはなりません。 一酸化炭素やすすが発生している状態は、燃料の化学エネルギーが十分に利用されていない状態でもあります。完全燃焼と比べて発生する熱量が少なくなりやすく、燃焼効率も低下します。試験では、「酸素不足」「一酸化炭素」「すす」という三つの言葉を不完全燃焼と結びつけて覚えることが重要です。

(3) 完全燃焼では二酸化炭素は発生せず、水だけが生成される。

不適切です。炭化水素は、炭素原子と水素原子を主な構成要素とする物質です。完全燃焼すると、炭素は酸素と結びついて二酸化炭素となり、水素は酸素と結びついて水となります。したがって、一般的な炭化水素の完全燃焼では、二酸化炭素と水の両方が主な生成物となります。 例えば、プロパンの完全燃焼は「C₃H₈+5O₂→3CO₂+4H₂O」と表されます。この化学反応式からも、二酸化炭素と水が生成されることが確認できます。水だけが生成されるのは、水素のみを燃焼させた場合などであり、炭素を含む炭化水素の完全燃焼には当てはまりません。 なお、「完全燃焼では主に二酸化炭素と水が生成される」という表現は、燃料に炭素や水素以外の元素が含まれていないことを前提とした基本的な説明です。危険物取扱者乙種4類の試験では、ガソリンや灯油などの炭化水素系危険物について、この基本関係を理解しておく必要があります。

(4) 不完全燃焼では酸素が十分に供給されるため、二酸化炭素だけが生成される。

不適切です。不完全燃焼は、酸素が十分に供給されていない場合などに起こります。選択肢は「不完全燃焼」としながら「酸素が十分に供給される」と説明しており、燃焼状態の定義が矛盾しています。 また、不完全燃焼では、二酸化炭素だけが生成されるわけではありません。実際の燃焼では、二酸化炭素や水に加えて、一酸化炭素、すす、未燃焼の炭化水素などが生じることがあります。酸素不足の程度や燃料と空気の混合状態によって、生成物の割合は変化します。 完全燃焼と不完全燃焼の区別は、二酸化炭素が少しでも発生したかどうかでは決まりません。不完全燃焼でも一部の炭素は二酸化炭素まで酸化されることがあります。炭素や水素が十分に酸化されず、一酸化炭素、すす、未燃焼物などが生じているかどうかが重要です。

(5) 完全燃焼では酸素が十分に供給されても、すすが大量に発生する。

不適切です。すすは、燃料中の炭素が十分に酸化されず、微細な炭素粒子などとして残ったものです。酸素が十分に供給され、燃料と空気が適切に混合されて完全燃焼している場合、炭素は主に二酸化炭素まで酸化されるため、すすは発生しにくくなります。 黄色く明るい炎が見える場合、その光は高温になったすすの粒子が発光していることがあります。これに対して、燃料と空気がよく混ざり、完全燃焼に近い状態では、すすの発生が少ない青色の炎になることがあります。ただし、炎の色は燃料の種類や含まれる物質によっても変化するため、炎の色だけで燃焼状態を断定することはできません。 「酸素が十分に供給されている」という条件と「すすが大量に発生する」という結果は、基本的には結びつきません。すすの大量発生は、酸素不足、空気との混合不足、燃焼温度の低下などによる不完全燃焼を示す代表的な現象です。

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この問題で覚えるポイント

完全燃焼とは、可燃物に必要な酸素が十分に供給され、炭素や水素が十分に酸化される燃焼です。炭化水素が完全燃焼すると、炭素は主に二酸化炭素となり、水素は水となります。不完全燃焼は、酸素不足、燃料と空気の混合不足、燃焼温度の低下などによって、可燃物が十分に酸化されない燃焼です。不完全燃焼では、一酸化炭素、すす、未燃焼の炭化水素などが発生しやすくなります。不完全燃焼でも二酸化炭素や水がまったく生成されないわけではなく、完全燃焼による生成物と不完全燃焼による生成物が混在する場合があります。完全燃焼と不完全燃焼を判断するときは、「二酸化炭素が発生するか」だけではなく、「一酸化炭素、すす、未燃焼物が発生しているか」に注目します。一酸化炭素は無色・無臭で毒性が強く、ヘモグロビンと結びついて酸素運搬を妨げるため、換気の悪い場所での不完全燃焼は特に危険です。試験では、完全燃焼を「酸素が十分、主な生成物は二酸化炭素と水」、不完全燃焼を「酸素が不足、一酸化炭素やすすが発生」と整理すると、正誤を判断しやすくなります。

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ひっかけポイント

問題作成者は、完全燃焼と不完全燃焼の条件や生成物を入れ替えた文章によって誤答を誘います。「完全燃焼では酸素が不足する」「不完全燃焼では酸素が十分に供給される」という記述は、名称に関する知識が曖昧な受験者を狙った典型的な入れ替えです。また、「二酸化炭素だけ」「水だけ」「すすが必ず大量に発生する」などの断定表現にも注意が必要です。炭化水素の完全燃焼では二酸化炭素と水の両方が生成され、不完全燃焼では一酸化炭素やすすだけでなく、二酸化炭素、水、未燃焼物などが混在することがあります。「不完全燃焼では二酸化炭素がまったく発生しない」と考えると誤答につながります。日常的には炎が出ていれば十分に燃えているように見えますが、空気が存在することと、燃焼部分に必要な酸素が十分に届いていることは同じではありません。用語、酸素の供給状態、主な生成物を一組として確認する習慣をつけることが、同じ形式の問題への対策になります。

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