問題
酢酸の性質について、誤っているものはどれか。
(1) 無色透明で刺激臭のある液体である。
(2) 水と任意の割合で混ざり合う。
(3) 引火点は常温(20℃)より高い。
(4) 蒸気は空気より重く、低所に滞留しやすい。
(5) 酸化性が強く、それ自体が他の可燃物の燃焼を促進する。
危険物取扱者乙種4類|酢酸の性質を解説
酢酸は、第4類危険物のうち水溶性の有機酸として扱われる物質で、無色透明、刺激臭、水とよく混ざる性質、常温より高い引火点、空気より重い蒸気などが重要です。正解は(5)です。酢酸は可燃性のある有機化合物ですが、酸化性が強く他の可燃物の燃焼を促進する物質ではありません。酸化性物質のように考えてしまうと誤りになります。

(1) 無色透明で刺激臭のある液体である。
適切です。酢酸は無色透明の液体で、強い刺激臭をもつ物質です。食酢にも酢酸が含まれているため、においのイメージは持ちやすいですが、危険物としての酢酸は濃度が高く、刺激性が強い点に注意が必要です。皮膚や粘膜に対して刺激を与えるため、においだけで安全と判断してはいけません。
(2) 水と任意の割合で混ざり合う。
適切です。酢酸は水溶性の液体で、水と任意の割合で混ざり合います。第4類危険物では、水に溶けにくいガソリン、灯油、ベンゼン、トルエンなどと、水によく溶けるアルコール類、アセトン、酢酸などを区別することが大切です。水に溶ける性質があるため、非水溶性液体とは消火方法や流出時の広がり方の考え方が異なります。
(3) 引火点は常温(20℃)より高い。
適切です。酢酸の引火点は常温より高く、20℃付近でただちに引火しやすい物質ではありません。ただし、引火点が常温より高いから安全という意味ではありません。加熱されたり、蒸気が発生しやすい条件になったりすると、火気により引火する危険があります。乙4では、引火点が低いほど常温でも引火しやすく危険性が高い、と整理しておくと判断しやすくなります。
(4) 蒸気は空気より重く、低所に滞留しやすい。
適切です。酢酸の蒸気は空気より重いため、床付近やくぼみ、ピット、排水溝などの低い場所に滞留しやすい性質があります。第4類危険物の多くは、蒸気が空気より重い点が頻出です。低所にたまった可燃性蒸気に火気が近づくと、離れた場所からでも引火するおそれがあるため、換気や火気管理が重要です。
(5) 酸化性が強く、それ自体が他の可燃物の燃焼を促進する。
不適切です。酢酸は有機酸であり、第4類危険物としては引火性液体に関する性質を中心に考えます。酸化性が強く、他の可燃物の燃焼を助ける性質は、第1類危険物の酸化性固体や第6類危険物の酸化性液体で問われる内容です。酢酸は酸という名前がつくため、強い酸化性をもつと誤解しやすいですが、「酸性」と「酸化性」は別の性質です。ここを混同しないことが正誤判断の決め手になります。
この問題で覚えるポイント
酢酸は、無色透明で刺激臭のある水溶性液体です。水と任意の割合で混ざり合い、蒸気は空気より重く低所に滞留しやすい性質があります。引火点は常温より高いため、ガソリンや二硫化炭素のように常温で非常に引火しやすい物質とは危険性の現れ方が異なりますが、加熱されれば可燃性蒸気が発生し、引火のおそれがあります。乙4では、酢酸を「酸化性物質」ではなく「第4類の引火性液体」として整理することが重要です。酸性を示す物質であっても、必ず酸化性が強いわけではありません。酸化性とは、他の物質を酸化して燃焼を助ける性質であり、引火性とは、可燃性蒸気が空気と混合して火気により燃える性質です。この違いを押さえると、酢酸、アルコール類、アセトンなどの水溶性液体の問題にも対応しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題の大きなひっかけは、「酢酸」という名前に含まれる「酸」から、酸化性が強い物質だと連想してしまう点です。試験では、「酸性」と「酸化性」を混同させる選択肢が出されることがあります。酸性は水溶液中で水素イオンを生じる性質に関係し、酸化性は他の物質を酸化して燃焼を促進する性質に関係します。名前が似ていても、危険物の分類や火災危険性は別に判断しなければなりません。また、「引火点が常温より高い」という記述を見て安全と考えすぎるのも注意点です。引火点が高めでも、加熱や換気不良により危険な状態になることがあります。酢酸は酸化性物質ではなく、可燃性をもつ第4類危険物として扱う、という視点で整理すると誤答を防げます。
