問題
液体の体膨張について、正しいものはどれか。
(1) 液体は、温度が上昇しても体積が変化しない。
(2) 同じ液体を同じ圧力・同じ温度範囲で加熱した場合、体積の変化量は初めの体積に比例する。
(3) 液体の体膨張率は、物質や温度にかかわらず常に0である。
(4) 液体は、温度が上昇すると必ず質量が増加する。
(5) 液体の体膨張率は、容器の材質だけで決まる。
危険物取扱者乙種4類|液体の体膨張を解説
液体は一般に、温度が上昇すると体積が増加します。体膨張率を一定とみなせる温度範囲では、液体の体積変化は、初めの体積、体膨張率、温度変化量によって決まります。正解は(2)です。同じ液体を同じ圧力・同じ温度範囲で加熱した場合、体積の変化量は初めの体積に比例します。ただし、水のように特定の温度範囲で加熱すると体積が減少する液体もあるため、「すべての液体は温度上昇によって必ず膨張する」と断定しないことが大切です。

(1) 液体は、温度が上昇しても体積が変化しない。
不適切です。液体は一般に、温度が上昇すると体積が増加します。これは、温度上昇によって分子の運動が活発になり、分子間の平均的な距離が広がるためです。ただし、水は0~約4℃の範囲では、温度が上昇すると体積が減少するという例外的な性質を示します。いずれにしても、液体の体積が温度によってまったく変化しないとする記述は誤りです。
(2) 同じ液体を同じ圧力・同じ温度範囲で加熱した場合、体積の変化量は初めの体積に比例する。
適切です。体膨張率を一定とみなせる範囲では、液体の体積変化は、次の式で表されます。 ΔV=V₀×β×ΔT ΔVは体積の変化量、V₀は初めの体積、βは体膨張率、ΔTは温度変化量です。同じ液体を同じ圧力・同じ温度範囲で加熱する場合、βとΔTは同じになるため、体積の変化量ΔVは初めの体積V₀に比例します。したがって、一般的な温度範囲で膨張する液体では、初めの体積が大きいほど、加熱による体積の増加量も大きくなります。
(3) 液体の体膨張率は、物質や温度にかかわらず常に0である。
不適切です。体膨張率とは、温度が1℃または1K変化したときに、物質の体積がどの程度の割合で変化するかを表す値です。体膨張率は液体の種類、温度、圧力などによって異なり、常に0ではありません。一般的な液体の体膨張率は正の値ですが、水は0~約4℃の範囲では負の値となり、密度が最大になる約4℃では0になります。したがって、「物質や温度にかかわらず常に0」とする記述は誤りです。
(4) 液体は、温度が上昇すると必ず質量が増加する。
不適切です。外部への漏えいや蒸発による流出がない閉じた系では、液体を加熱しても質量は変化しません。一般に、液体を加熱して体積が増加すると、同じ質量がより大きな体積を占めるため、密度は低下します。温度変化によって主に変わるのは体積や密度であり、液体そのものの量が増えて質量が大きくなるわけではありません。
(5) 液体の体膨張率は、容器の材質だけで決まる。
不適切です。液体そのものの体膨張率は、液体の種類、温度、圧力などによって決まる物性値であり、容器の材質だけで決まるものではありません。ただし、容器も加熱によって膨張するため、容器内の液面変化から求める「見かけの体膨張」には、液体と容器の両方の膨張が関係します。液体自体の体膨張率と、容器の膨張を含めた見かけの体膨張を区別することが大切です。
この問題で覚えるポイント
液体の体膨張とは、温度変化によって液体の体積が変化する現象です。体膨張率を一定とみなせる範囲では、体積変化は「ΔV=V₀×β×ΔT」で求められます。同じ液体を同じ圧力・同じ温度範囲で加熱する場合、体積の変化量は初めの体積に比例します。 液体は一般に、温度が上昇すると膨張しますが、水のような例外もあります。水は0~約4℃の範囲では、加熱すると体積が減少し、約4℃で密度が最大になります。また、液体を加熱して体積が変化しても、外部への漏えいや蒸発がなければ質量は変わりません。体積が増加した場合は、質量が増えるのではなく密度が低下します。 液体そのものの体膨張率は、液体の種類や温度、圧力などによって決まります。一方、容器内で観察される見かけの体膨張には、容器自体の熱膨張も影響します。「液体自体の膨張」と「容器の膨張を差し引いた見かけの膨張」を区別して覚えましょう。
ひっかけポイント
この問題では、「体積が増えると質量も増える」という誤解に注意が必要です。液体を加熱して体積が増加しても、液体の量そのものが増えるわけではありません。外部への出入りがなければ質量は一定であり、体積の増加に伴って密度が低下します。 また、体積の変化量を比較するには、液体の種類だけでなく、圧力、温度範囲、温度変化量などの条件をそろえる必要があります。「同じ液体だから」という理由だけでは、体積変化の大小を正確に比較できません。 「液体は加熱すると必ず膨張する」という断定にも注意しましょう。一般的な液体は温度上昇によって膨張しますが、水は0~約4℃の範囲で加熱すると収縮します。さらに、容器内で観察される液面の変化には容器自体の膨張も関係します。体膨張の問題では、公式だけでなく、その公式が成り立つ条件や例外もあわせて理解することが重要です。
