【第二種衛生管理者過去問】2025年10月公表問題|問19|労働衛生統計の有所見率・発生率・病休度数率|労働衛生を解説

出典:第二種衛生管理者2025年(令和7年度)10月公表問題|労働衛生第19問

問題

労働衛生管理に用いられる統計に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 健康管理統計において、ある時点での検査における有所見者の割合を有所見率といい、これは発生率と同じ意味で用いられる。

(2) 集団を比較する場合、調査の対象とした項目のデータの平均値が等しくても分散が異なっていれば、異なった特徴をもつ集団であると評価される。

(3) ばらつきをもって分布するデータの代表値として、平均値、中央値などがあるが、どの代表値を選択するかは、データの内容と分布による。

(4) ある事象と健康事象との間に、統計上、一方が多いと他方も多いというような相関関係が認められたとしても、それらの間に因果関係があるとは限らない。

(5) 病休度数率は、在籍労働者の延べ実労働時間数100万時間当たりの疾病休業件数で示される。

第二種衛生管理者|労働衛生統計の有所見率・発生率・病休度数率を解説

労働衛生統計では、有所見率、発生率、分散、代表値、相関関係、病休度数率などの意味を正確に区別することが重要です。答えは(1)です。有所見率は、ある時点や一定の検査で異常所見が認められた人の割合を示す指標であり、新しく発生した件数を示す発生率とは意味が異なります。用語が似ていても、何を分母とし、何を数えているかを意識すると正誤判断がしやすくなります。

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(1) 健康管理統計において、ある時点での検査における有所見者の割合を有所見率といい、これは発生率と同じ意味で用いられる。

不適切です。有所見率とは、健康診断などの検査を受けた人のうち、何らかの異常所見が認められた人の割合をいいます。たとえば、100人が健康診断を受け、そのうち20人に血圧や血液検査などの異常所見があれば、有所見率は20%です。これは、ある時点での状態を表す割合です。一方、発生率は、一定期間内に新たに疾病や異常などが発生した割合を示す指標です。つまり、有所見率は「その時点でどれくらい所見があるか」、発生率は「一定期間にどれくらい新しく発生したか」を見るものです。両者は似ていますが、統計上の意味は異なるため、「同じ意味で用いられる」とする記述は誤りです。

(2) 集団を比較する場合、調査の対象とした項目のデータの平均値が等しくても分散が異なっていれば、異なった特徴をもつ集団であると評価される。

適切です。平均値は、データ全体を代表する値の一つですが、平均値だけでは集団の特徴を十分に表せません。たとえば、ある2つの職場で平均年齢が同じであっても、一方は全員がほぼ同じ年齢で、もう一方は若年者と高年齢者が大きく分かれている場合があります。このような違いは、データのばらつきを示す分散によって把握できます。分散が大きいほどデータの散らばりが大きく、分散が小さいほどデータが平均値の近くにまとまっています。そのため、平均値が同じでも分散が異なれば、集団の特徴は異なると評価できます。

(3) ばらつきをもって分布するデータの代表値として、平均値、中央値などがあるが、どの代表値を選択するかは、データの内容と分布による。

適切です。代表値とは、データ全体の特徴を一つの値で表すための数値です。代表値には、平均値、中央値、最頻値などがあります。平均値はすべてのデータを合計してデータ数で割った値で、全体の傾向をつかむのに便利です。ただし、極端に大きい値や小さい値があると影響を受けやすいという特徴があります。中央値は、データを大きさの順に並べたときの中央の値で、極端な値の影響を受けにくい代表値です。たとえば、病休日数や検査値のように一部に極端な値がある場合には、平均値だけで判断すると実態を誤って見ることがあります。データの内容や分布の形に応じて適切な代表値を選ぶ必要があります。

(4) ある事象と健康事象との間に、統計上、一方が多いと他方も多いというような相関関係が認められたとしても、それらの間に因果関係があるとは限らない。

適切です。相関関係とは、2つの事象が一緒に増減するような関係をいいます。たとえば、ある作業環境の指標が高い職場ほど、ある健康異常の割合も高いという結果が出た場合、統計上は相関があるといえます。しかし、相関があるからといって、必ず一方が他方の原因であるとは限りません。別の要因が関係している可能性や、偶然そのような傾向が見えている可能性もあります。因果関係を判断するには、時間的な前後関係、他の要因の影響、医学的・衛生学的な合理性などを含めて検討する必要があります。労働衛生管理では、相関関係と因果関係を混同しないことが大切です。

(5) 病休度数率は、在籍労働者の延べ実労働時間数100万時間当たりの疾病休業件数で示される。

適切です。病休度数率は、疾病による休業がどの程度の頻度で発生しているかを示す指標です。一般に、在籍労働者の延べ実労働時間数100万時間当たりの疾病休業件数で表します。労働災害統計で用いられる度数率と同じように、単純な件数だけでなく、労働時間を基準にして比較できるようにしたものです。労働者数や労働時間が異なる事業場同士を比較する場合、単に病休件数だけを見ると規模の大きい事業場ほど多く見えやすくなります。病休度数率を用いることで、労働時間当たりの発生頻度として比較しやすくなります。

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この問題で覚えるポイント

労働衛生統計では、まず「割合」と「発生」を区別することが重要です。有所見率は、健康診断などで検査を受けた人のうち、有所見者が占める割合を示す指標です。これは、ある時点や一定の検査結果における状態を表します。発生率は、一定期間内に新たに疾病や異常などが発生した割合を示す指標です。つまり、有所見率は「今どれだけいるか」、発生率は「新たにどれだけ起きたか」を見るものです。平均値はデータの代表値ですが、平均値だけでは集団の特徴を十分に判断できません。分散はデータのばらつきを示し、平均値が同じでも分散が異なれば、集団の構成や特徴は異なると考えます。代表値には平均値、中央値、最頻値などがあり、極端な値がある場合には中央値の方が実態を表しやすいことがあります。相関関係は2つの事象が一緒に増減する関係を示しますが、因果関係を意味するとは限りません。病休度数率は、延べ実労働時間数100万時間当たりの疾病休業件数で示され、事業場の規模や労働時間の違いを考慮して病休の発生頻度を比較するために用いられます。

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ひっかけポイント

この問題の最大のひっかけは、有所見率と発生率を同じものとして扱わせる点です。どちらも「割合」に関する用語なので混同しやすいですが、有所見率は検査時点で異常所見がある人の割合であり、発生率は一定期間内に新たに起きた件数や人数の割合です。「ある時点の状態」なのか「一定期間内の新規発生」なのかを見分けることが正誤判断の鍵になります。また、平均値が同じなら同じ集団だと考えてしまうのもよくある誤りです。統計では、平均だけでなく分散や分布の形を見なければ、集団の本当の特徴はわかりません。さらに、相関関係があると原因と結果の関係があるように感じやすいですが、統計上の関連と因果関係は別物です。労働衛生統計の問題では、用語の印象ではなく、「何を、どの時点で、どの分母で測っているのか」を確認する習慣が大切です。

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