出典:第二種衛生管理者2025年(令和7年度)10月公表問題|労働衛生第17問
問題
虚血性心疾患に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 運動負荷心電図検査は、心筋の異常や不整脈の発見には役立つが、虚血性心疾患の発見には有用でない。
(2) 虚血性心疾患は、狭心症と心筋梗塞とに大別される。
(3) 狭心症は、心臓の血管の一部の血流が一時的に悪くなる病気である。
(4) 心筋梗塞では、突然激しい胸痛が起こり、「締め付けられるように痛い」、「胸が苦しい」などの症状が長時間続き、1時間以上になることもある。
(5) 狭心症の痛みの場所は、心筋梗塞とほぼ同じであるが、その発作が続く時間は、通常数分程度で、長くても15分以内におさまることが多い。
第二種衛生管理者|虚血性心疾患の症状と狭心症・心筋梗塞の違いを解説
虚血性心疾患とは、心臓の筋肉である心筋に血液を送る冠動脈の血流が悪くなり、心筋が酸素不足になる病気です。代表的なものに狭心症と心筋梗塞があります。答えは(1)です。運動負荷心電図検査は、安静時には現れにくい心筋虚血の変化を、運動によって心臓に負荷をかけることで確認する検査であり、虚血性心疾患の発見に有用です。そのため、「虚血性心疾患の発見には有用でない」とする記述は誤りです。

(1) 運動負荷心電図検査は、心筋の異常や不整脈の発見には役立つが、虚血性心疾患の発見には有用でない。
不適切です。運動負荷心電図検査は、虚血性心疾患の発見に有用な検査です。狭心症などでは、安静にしているときには心電図に異常が出ないことがあります。しかし、運動により心臓の仕事量が増えると、心筋が必要とする酸素量も増えます。このとき冠動脈の血流が十分でないと、心筋が酸素不足となり、心電図に虚血を示す変化が現れることがあります。つまり、運動負荷心電図検査は、運動時に起こる心筋虚血を見つけるために行われる検査であり、虚血性心疾患の発見に役立ちます。心筋の異常や不整脈の発見に役立つという部分は正しいですが、「虚血性心疾患の発見には有用でない」という部分が誤りです。
(2) 虚血性心疾患は、狭心症と心筋梗塞とに大別される。
適切です。虚血性心疾患は、心筋に十分な血液や酸素が届かなくなる病気の総称であり、代表的には狭心症と心筋梗塞に分けられます。狭心症は冠動脈の血流が一時的に不足する状態で、心筋は酸素不足になりますが、通常は短時間で回復します。心筋梗塞は冠動脈が詰まるなどして血流が大きく途絶え、心筋の一部が壊死する病気です。試験では、虚血性心疾患という大きな分類の中に、狭心症と心筋梗塞が含まれると整理しておくと判断しやすくなります。
(3) 狭心症は、心臓の血管の一部の血流が一時的に悪くなる病気である。
適切です。狭心症は、心臓に酸素や栄養を送る冠動脈の血流が一時的に不足することで起こります。運動や階段昇降、精神的緊張などで心臓の酸素需要が増えたときに、冠動脈の血流が追いつかなくなると胸痛や胸部圧迫感が生じます。ただし、狭心症では血流低下が一時的であるため、多くの場合、安静にすると数分程度で症状がおさまります。心筋梗塞のように心筋が壊死する状態とは異なり、可逆的な血流不足として理解することが大切です。
(4) 心筋梗塞では、突然激しい胸痛が起こり、「締め付けられるように痛い」、「胸が苦しい」などの症状が長時間続き、1時間以上になることもある。
適切です。心筋梗塞では、冠動脈が血栓などにより閉塞し、心筋への血流が途絶えることで、強い胸痛や胸部圧迫感が起こります。痛みは「締め付けられるような痛み」「胸が押しつぶされるような苦しさ」と表現されることが多く、冷や汗、吐き気、息苦しさを伴うこともあります。狭心症と異なり、安静にしても痛みが長く続く点が重要です。症状が30分以上、場合によっては1時間以上続くこともあり、命に関わる緊急性の高い状態です。
(5) 狭心症の痛みの場所は、心筋梗塞とほぼ同じであるが、その発作が続く時間は、通常数分程度で、長くても15分以内におさまることが多い。
適切です。狭心症の痛みは、前胸部や胸骨の裏側に感じることが多く、左肩、左腕、首、あご、背中などに広がることもあります。この痛みの場所は心筋梗塞とよく似ています。違いとして重要なのは、発作の持続時間です。狭心症では冠動脈の血流低下が一時的であるため、通常は数分程度でおさまり、長くても15分以内に改善することが多いです。心筋梗塞では痛みが長時間続くため、狭心症と心筋梗塞を区別するうえで、痛みの強さだけでなく持続時間にも注目する必要があります。
この問題で覚えるポイント
虚血性心疾患は、心筋に十分な酸素が届かなくなる病気で、代表的には狭心症と心筋梗塞に分けられます。狭心症は冠動脈の血流が一時的に悪くなる病気で、胸痛や胸部圧迫感は通常数分程度でおさまり、長くても15分以内に改善することが多いです。心筋梗塞は冠動脈が詰まるなどして心筋の一部が壊死する病気で、激しい胸痛が長時間続き、1時間以上になることもあります。運動負荷心電図検査は、運動によって心臓に負荷をかけ、安静時には見つけにくい心筋虚血を確認するための検査であり、虚血性心疾患の発見に有用です。試験では、狭心症は「一時的な血流不足」、心筋梗塞は「血流途絶による心筋壊死」、運動負荷心電図は「虚血性心疾患の発見に有用」と整理して覚えると正誤判断がしやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、運動負荷心電図検査について「心筋の異常や不整脈には役立つ」という正しい内容を前半に置き、後半で「虚血性心疾患の発見には有用でない」と誤った内容を混ぜている点です。一部だけ読むと正しそうに見えるため、文章全体を最後まで確認する必要があります。また、狭心症と心筋梗塞はどちらも胸痛を起こすため、痛みの場所だけで判断すると混同しやすくなります。正答に直結するのは、狭心症は一時的で短時間、心筋梗塞は長時間で重篤という違いです。検査名についても、運動負荷という言葉から単に体力測定のように考えるのではなく、心臓に負荷をかけることで隠れた心筋虚血を発見する検査だと理解しておくことが大切です。
