出典:第二種衛生管理者2024年(令和6年度)10月公表問題|労働衛生第19問
問題
食中毒に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 腸炎ビブリオ菌は、熱に強い。
(2) サルモネラ菌による食中毒は、鶏卵が原因となることがある。
(3) 黄色ブドウ球菌による食中毒は、食品に付着した菌が食品中で増殖した際に生じる毒素により発症する。
(4) ウェルシュ菌、セレウス菌及びカンピロバクターは、いずれも細菌性食中毒の原因菌である。
(5) ノロウイルスによる食中毒は、冬季に集団食中毒として発生することが多く、潜伏期間は、1〜2日間である。
第二種衛生管理者|細菌性・ウイルス性食中毒の原因菌と予防方法を解説
食中毒では、原因となる細菌やウイルスの特徴、主な原因食品、発生しやすい季節、予防方法の違いが問われます。答えは(1)です。腸炎ビブリオ菌は熱に強い菌ではなく、加熱に弱い細菌です。魚介類に付着しやすく、真水や熱に弱いという特徴があります。

(1) 腸炎ビブリオ菌は、熱に強い。
不適切です。腸炎ビブリオ菌は、熱に強い菌ではありません。腸炎ビブリオ菌は海水中に生息し、魚介類を原因食品として食中毒を起こすことが多い細菌です。特徴として、塩分を好む一方で、真水や加熱には弱い性質があります。そのため、魚介類を真水でよく洗うことや、十分に加熱することが予防に有効です。試験では「腸炎ビブリオ菌=魚介類、夏季、塩分を好む、真水と熱に弱い」と整理しておくと判断しやすくなります。
(2) サルモネラ菌による食中毒は、鶏卵が原因となることがある。
適切です。サルモネラ菌は、鶏卵、鶏肉、食肉などが原因食品となることがあります。特に鶏卵は、殻の表面や内部が汚染されることがあり、加熱が不十分な卵料理などで食中毒につながる場合があります。予防には、卵や肉類を十分に加熱すること、調理器具を清潔に保つこと、低温で保存することが重要です。
(3) 黄色ブドウ球菌による食中毒は、食品に付着した菌が食品中で増殖した際に生じる毒素により発症する。
適切です。黄色ブドウ球菌による食中毒は、菌そのものよりも、食品中で菌が増殖したときに産生される毒素によって発症します。この毒素は熱に強いため、食品を後から加熱しても完全に無毒化できないことがあります。おにぎり、弁当、サンドイッチなど、手指を介して汚染されやすい食品が原因になりやすい点も重要です。予防には、手洗い、手指の傷の管理、食品を長時間常温に置かないことが大切です。
(4) ウェルシュ菌、セレウス菌及びカンピロバクターは、いずれも細菌性食中毒の原因菌である。
適切です。ウェルシュ菌、セレウス菌、カンピロバクターはいずれも細菌性食中毒の原因菌です。ウェルシュ菌は大量調理されたカレーや煮込み料理などで増殖しやすく、加熱後の不適切な保管が問題になります。セレウス菌は米飯やめん類などを原因とすることがあり、カンピロバクターは加熱不十分な鶏肉などが原因になりやすい細菌です。原因食品や発生状況は異なりますが、いずれも細菌による食中毒として分類されます。
(5) ノロウイルスによる食中毒は、冬季に集団食中毒として発生することが多く、潜伏期間は、1〜2日間である。
適切です。ノロウイルスによる食中毒は、冬季に多く発生し、学校、施設、飲食店などで集団食中毒となることがあります。潜伏期間は一般に1〜2日程度で、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などを起こします。ノロウイルスは細菌ではなくウイルスであり、少量でも感染しやすい点が特徴です。予防には、手洗い、食品の十分な加熱、嘔吐物や便の適切な処理が重要です。
この問題で覚えるポイント
食中毒の正誤判断では、原因物質が細菌なのかウイルスなのかをまず区別します。腸炎ビブリオ菌は魚介類に関係し、塩分を好みますが、真水や加熱には弱い細菌です。サルモネラ菌は鶏卵や鶏肉と結び付けて覚えます。黄色ブドウ球菌は食品中で産生された毒素による食中毒で、毒素が熱に強い点が重要です。ウェルシュ菌は大量調理食品、セレウス菌は米飯やめん類、カンピロバクターは加熱不十分な鶏肉と関連づけると整理しやすくなります。ノロウイルスはウイルス性食中毒で、冬季に多く、潜伏期間はおおむね1〜2日間です。試験では、菌の名前だけでなく、原因食品、季節、加熱への強さ、毒素の有無までセットで覚えると得点につながります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「腸炎ビブリオ菌は熱に強い」という表現です。腸炎ビブリオ菌は海水や魚介類のイメージが強いため、なんとなく強い菌だと考えてしまうと誤答しやすくなります。しかし、正しくは真水や加熱に弱い細菌です。また、黄色ブドウ球菌では「菌が熱に強い」のではなく、「菌が作る毒素が熱に強い」という区別が重要です。食中毒の問題では、菌そのものの性質と毒素の性質を混同させる表現がよく出ます。日常感覚だけで判断せず、原因食品、発生しやすい時期、加熱の有効性をセットで確認することが、同じテーマの問題で安定して正解するコツです。
