出典:第二種衛生管理者2023年(令和5年度)10月公表問題|労働生理第25問
問題
肝臓の機能として、誤っているものは次のうちどれか。
(1) コレステロールを合成する。
(2) 尿素を合成する。
(3) ヘモグロビンを合成する。
(4) 胆汁を生成する。
(5) グリコーゲンを合成し、及び分解する。
第二種衛生管理者|肝臓の働きと主要機能|胆汁・尿素・グリコーゲン代謝を解説
肝臓は、栄養素の代謝、解毒、胆汁の生成、尿素の合成、グリコーゲンの合成と分解など、多くの重要な働きをもつ臓器です。答えは(3)です。ヘモグロビンは赤血球の中にある酸素運搬に関わる色素であり、主に骨髄で作られる赤血球の形成過程で合成されるため、肝臓の機能としては誤りです。

(1) コレステロールを合成する。
適切です。肝臓はコレステロールを合成する重要な臓器です。コレステロールは悪いものとして覚えられがちですが、細胞膜の構成成分やホルモン、胆汁酸の材料にもなる必要な物質です。肝臓では、体内で必要となるコレステロールを合成し、血液中へ送り出したり、胆汁酸の材料として利用したりします。そのため、コレステロールの合成は肝臓の代表的な働きとして覚えておく必要があります。
(2) 尿素を合成する。
適切です。肝臓は尿素を合成します。蛋白質が分解されると、有害なアンモニアが生じます。アンモニアは体内にたまると神経系に悪影響を与えるため、肝臓で比較的毒性の低い尿素に変えられます。この尿素は血液によって腎臓へ運ばれ、尿として体外へ排出されます。つまり、尿素の合成は、蛋白質代謝と解毒に関わる肝臓の重要な機能です。
(3) ヘモグロビンを合成する。
不適切です。ヘモグロビンは、赤血球の中に含まれる赤い色素で、酸素を全身へ運ぶ働きをします。ヘモグロビンの合成は、主に骨髄で赤血球が作られる過程で行われるものであり、肝臓の主な機能ではありません。肝臓は古くなった赤血球の分解産物を処理し、胆汁色素であるビリルビンの代謝に関わりますが、ヘモグロビンそのものを合成する臓器ではありません。ここでは、赤血球や血液に関係するから肝臓の働きだと考えないことが大切です。
(4) 胆汁を生成する。
適切です。肝臓は胆汁を生成します。胆汁は肝臓で作られ、胆のうに一時的に蓄えられた後、十二指腸へ分泌されます。胆汁には脂肪を細かく分散させる働きがあり、脂肪の消化吸収を助けます。ただし、胆汁そのものには消化酵素は含まれていません。肝臓が胆汁を作り、胆のうが胆汁を蓄えるという役割分担も、試験で問われやすいポイントです。
(5) グリコーゲンを合成し、及び分解する。
適切です。肝臓は血糖値の調節に関わり、余ったブドウ糖をグリコーゲンとして蓄えます。血糖値が低下したときには、蓄えたグリコーゲンを分解してブドウ糖に戻し、血液中へ放出します。このように、肝臓はグリコーゲンの合成と分解を通じて、血液中のブドウ糖濃度を一定に保つ働きをしています。食後と空腹時で肝臓の働きが変わると考えると理解しやすいです。
この問題で覚えるポイント
肝臓の機能では、栄養素の代謝、解毒、胆汁の生成、尿素の合成、グリコーゲンの合成と分解を中心に覚えることが重要です。糖質代謝では、肝臓はブドウ糖をグリコーゲンとして蓄え、必要に応じてグリコーゲンを分解して血糖値を調節します。蛋白質代謝では、蛋白質の分解で生じる有害なアンモニアを尿素に変え、腎臓から排出しやすくします。脂質代謝では、コレステロールの合成に関わります。胆汁は肝臓で生成され、胆のうに蓄えられ、脂肪の消化吸収を助けます。ただし、胆汁には消化酵素は含まれません。ヘモグロビンは赤血球内の酸素運搬色素であり、主に骨髄で赤血球が作られる過程で合成されるため、肝臓の機能とは区別して覚えましょう。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、肝臓が血液や赤血球の分解に関係することから、ヘモグロビンの合成まで肝臓の働きだと誤解させる点です。肝臓は古くなった赤血球の分解産物を処理し、胆汁色素の代謝に関わりますが、ヘモグロビンを作る場所ではありません。血液に関係する働きだから肝臓と短絡的に判断すると誤答につながります。肝臓は代謝、解毒、胆汁生成、尿素合成、グリコーゲン調節の臓器であり、赤血球やヘモグロビンを作る中心は骨髄である、という臓器ごとの役割分担で整理すると安定して正誤判断できます。
