【第二種衛生管理者過去問】2023年4月公表問題|問29|筋肉の種類と筋収縮の仕組み|横紋筋・平滑筋・筋力の基礎知識|労働生理を解説

出典:第二種衛生管理者2023年(令和5年度)4月公表問題|労働生理第29問

問題

筋肉に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1) 横紋筋は、骨に付着して身体の運動の原動力となる筋肉で意志によって動かすことができるが、平滑筋は、心筋などの内臓に存在する筋肉で意志によって動かすことができない。

(2) 筋肉は神経からの刺激によって収縮するが、神経より疲労しにくい。

(3) 荷物を持ち上げたり、屈伸運動を行うときは、筋肉が長さを変えずに外力に抵抗して筋力を発生させる等尺性収縮が生じている。

(4) 強い力を必要とする運動を続けていると、筋肉を構成する個々の筋線維の太さは変わらないが、その数が増えることによって筋肉が太くなり筋力が増強する。

(5) 筋肉自体が収縮して出す最大筋力は、筋肉の断面積1cm2当たりの平均値をとると、性差、年齢差がほとんどない。

第二種衛生管理者|筋肉の種類と筋収縮の仕組みを解説

筋肉の種類、筋収縮の形式、筋力の性質について整理する問題です。答えは(5)です。筋肉そのものが発揮できる最大筋力は、筋肉の断面積当たりでみると、性別や年齢による差がほとんどないとされています。見た目の筋力差は、主に筋肉量や筋断面積の違いによって生じます。

下に移動する

【第二種衛生管理者過去問】2023年4月公表問題|問29|筋肉の種類と筋収縮の仕組み|横紋筋・平滑筋・筋力の基礎知識|労働生理を解説する画像__2syu-2023-04-seiri-q29

下に移動する

(1) 横紋筋は、骨に付着して身体の運動の原動力となる筋肉で意志によって動かすことができるが、平滑筋は、心筋などの内臓に存在する筋肉で意志によって動かすことができない。

不適切です。骨格筋は横紋筋であり、骨に付着して身体を動かす原動力となり、意志によって動かすことができます。この部分は正しいです。しかし、心筋は横紋筋の一種であり、平滑筋ではありません。心筋は心臓を構成する筋肉で、横紋がありますが、意志によって動かすことはできない不随意筋です。平滑筋は、血管、胃、腸、気管支、子宮などの内臓や血管壁に存在し、こちらも意志によって動かすことはできません。横紋筋、平滑筋、心筋の分類を混同しないことが大切です。

(2) 筋肉は神経からの刺激によって収縮するが、神経より疲労しにくい。

不適切です。筋肉は神経からの刺激を受けて収縮しますが、一般に筋肉は神経より疲労しやすい組織です。運動を続けると、筋肉ではエネルギー源の消費や代謝産物の蓄積などにより、収縮する力が低下します。神経も疲労しないわけではありませんが、衛生管理者試験では、筋肉は神経より疲労しやすいと押さえておくと判断しやすくなります。

(3) 荷物を持ち上げたり、屈伸運動を行うときは、筋肉が長さを変えずに外力に抵抗して筋力を発生させる等尺性収縮が生じている。

不適切です。荷物を持ち上げたり、屈伸運動を行ったりするときは、筋肉の長さが変化しながら筋力を発生させます。これは等張性収縮に当たります。等尺性収縮とは、筋肉の長さがほとんど変わらないまま力を出す収縮です。例えば、壁を押す、重い物を持ったまま静止する、姿勢を保つような場合が該当します。動きを伴う運動か、動かずに力を入れる運動かで区別すると覚えやすいです。

(4) 強い力を必要とする運動を続けていると、筋肉を構成する個々の筋線維の太さは変わらないが、その数が増えることによって筋肉が太くなり筋力が増強する。

不適切です。筋力トレーニングなどで筋肉が太くなる主な理由は、筋線維の数が増えることではなく、個々の筋線維が太くなることです。これを筋肥大といいます。筋線維が太くなると筋肉全体の断面積が大きくなり、発揮できる筋力も増加します。筋肉が太くなる理由を「筋線維の数が増える」とする記述は、試験でよくある誤りです。

(5) 筋肉自体が収縮して出す最大筋力は、筋肉の断面積1cm2当たりの平均値をとると、性差、年齢差がほとんどない。

適切です。筋肉そのものが発揮する力は、筋肉の断面積に大きく関係します。一般に、筋肉の断面積が大きいほど発揮できる筋力も大きくなります。性別や年齢によって全身の筋肉量や筋断面積には差が出やすいため、実際の最大筋力には違いが生じます。しかし、筋肉の断面積1cm2当たりで比較すると、筋肉自体の力を出す能力には性差や年齢差がほとんどないとされています。ここでは「体全体の筋力」ではなく「断面積当たりの筋力」を問うている点が重要です。

下に移動する

この問題で覚えるポイント

筋肉は、骨格筋、平滑筋、心筋に大きく分けて整理します。骨格筋は横紋筋で、骨に付着して身体を動かし、意志によって動かせる随意筋です。平滑筋は血管や消化管などの内臓に存在し、意志では動かせない不随意筋です。心筋は心臓を構成する筋肉で、横紋筋ですが、意志では動かせない不随意筋です。筋収縮では、筋肉の長さが変わらずに力を出すものを等尺性収縮、筋肉の長さが変わりながら力を出すものを等張性収縮と考えると整理しやすいです。筋肉は神経からの刺激で収縮しますが、一般に神経より疲労しやすいと覚えます。筋力が増える主な理由は、筋線維の数が増えることではなく、個々の筋線維が太くなる筋肥大です。最大筋力は筋肉の断面積に比例しやすく、断面積1cm2当たりでみると性差や年齢差はほとんどない、という点が正誤判断に直結します。

下に移動する

ひっかけポイント

このテーマでは、横紋筋、平滑筋、心筋の分類を混同させる出題がよくあります。特に、心筋には横紋があるため横紋筋の一種ですが、意志では動かせない不随意筋です。「横紋筋は随意筋」とだけ覚えていると、心筋の扱いで迷いやすくなります。また、等尺性収縮と等張性収縮も混同しやすいポイントです。荷物を持ち上げる、屈伸するなど動きがある運動は筋肉の長さが変わるため、等尺性収縮ではありません。さらに、筋肉が太くなる理由を「筋線維の数が増える」と考えてしまうのも典型的な誤りです。試験では、日常感覚で「筋肉が増える」と表現したくなるところを、専門的には「筋線維が太くなる」と判断できるかが問われます。筋力差についても、単に男性や若年者の方が力が強いと考えるのではなく、断面積当たりの最大筋力では性差や年齢差がほとんどない、という条件付きの知識として押さえることが重要です。

初学者向けの定番テキストはこちら

「スッキリわかる」シリーズは図解が多く、 初めて学ぶ方にも人気があります。

次の問題へ