出典:第二種衛生管理者2023年(令和5年度)4月公表問題|労働生理第23問
問題
下の図は、脳などの正中縦断面であるが、図中に示すAからEの部位に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) Aは、大脳皮質の前頭葉で、運動機能中枢、運動性言語中枢及び精神機能中枢がある。
(2) Bは、小脳で、体の平衡を保つ中枢がある。
(3) Cは、大脳皮質の後頭葉で、視覚中枢がある。
(4) Dは、延髄で、呼吸運動、循環器官・消化器官の働きなど、生命維持に重要な機能の中枢がある。
(5) Eは、間脳の視床下部で、自律神経系の中枢がある。
第二種衛生管理者|脳の構造と機能|前頭葉・小脳・視床下部の役割を解説
脳の正中縦断面に示された各部位の名称と機能を対応させて判断する内容です。答えは(2)です。Bの部位は図の位置から小脳ではなく、視床下部などを含む間脳付近を示していると考えられるため、「小脳で、体の平衡を保つ中枢がある」とする記述は不適切です。小脳そのものが平衡や運動調節に関わるという知識は正しいため、部位の名称と働きの対応を図で正確に見分けることがポイントです。

(1) Aは、大脳皮質の前頭葉で、運動機能中枢、運動性言語中枢及び精神機能中枢がある。
適切です。前頭葉は大脳の前方に位置し、随意運動を支配する運動機能中枢、言葉を発する働きに関わる運動性言語中枢、思考、判断、意欲、人格などに関わる精神機能中枢があります。衛生管理者試験では、前頭葉は単なる「前にある部分」ではなく、運動、発語、精神活動に関係する部位として整理しておくと判断しやすくなります。
(2) Bは、小脳で、体の平衡を保つ中枢がある。
不適切です。小脳が体の平衡を保ち、姿勢や運動を調整する中枢であるという説明自体は正しいです。しかし、この選択肢では、図中のBを小脳としている点が誤りです。正中縦断面では、小脳は大脳の後下方、脳幹の後ろ側に位置します。Bが示す位置は小脳の位置ではないため、部位名と機能の対応が一致していません。この問題では「小脳の機能は正しいから適切」と早合点しないことが大切です。
(3) Cは、大脳皮質の後頭葉で、視覚中枢がある。
適切です。後頭葉は大脳の後方にあり、視覚情報を処理する視覚中枢があります。目で受け取った光の情報は神経を通じて脳に伝えられ、後頭葉で映像として認識されます。試験では、後頭葉は視覚、側頭葉は聴覚、前頭葉は運動や精神機能という対応がよく問われます。
(4) Dは、延髄で、呼吸運動、循環器官・消化器官の働きなど、生命維持に重要な機能の中枢がある。
適切です。延髄は脳幹の一部で、呼吸、心拍、血圧調節、嚥下、嘔吐、消化管の働きなど、生命維持に欠かせない機能の中枢があります。意識して動かす機能というより、生命を保つために自律的に働く機能を調節している点が特徴です。延髄は「生命維持の中枢」と覚えると、正誤判断に役立ちます。
(5) Eは、間脳の視床下部で、自律神経系の中枢がある。
適切です。視床下部は間脳に含まれる部位で、自律神経系の中枢として働きます。体温調節、食欲、睡眠、内分泌機能などにも関係し、体内環境を一定に保つ重要な役割があります。自律神経は、心拍、血圧、消化、発汗などを無意識のうちに調整する神経系であり、その中枢として視床下部が重要です。
この問題で覚えるポイント
大脳皮質では、前頭葉は運動機能中枢、運動性言語中枢、精神機能中枢に関わり、後頭葉は視覚中枢に関わります。小脳は大脳の後下方にあり、体の平衡保持や運動の調整を行います。延髄は呼吸、循環、消化など生命維持に重要な働きの中枢です。視床下部は間脳に含まれ、自律神経系の中枢として体温、食欲、内分泌などを調節します。試験では、機能だけでなく、図中の位置と名称が正しく対応しているかを確認することが重要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「説明している機能は正しいが、図中の部位名が違う」という形です。小脳が平衡を保つ中枢であることは正しいため、機能だけを見ると正しい選択肢に見えてしまいます。しかし、図で示されたBが小脳の位置ではないため誤りになります。脳の問題では、前頭葉、後頭葉、小脳、延髄、視床下部の機能を丸暗記するだけでなく、正中縦断面でどこに位置するかまで結び付けて覚えることが大切です。
