出典:第二種衛生管理者2022年(令和4年度)10月公表問題|労働生理第26問
問題
耳とその機能に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 耳は、聴覚と平衡感覚をつかさどる器官で、外耳、中耳及び内耳の三つの部位に分けられる。
(2) 耳介で集められた音は、鼓膜を振動させ、その振動は耳小骨によって増幅され、内耳に伝えられる。
(3) 内耳は、前庭、半規管及び蝸(か)牛(うずまき管)の三つの部位からなり、前庭と半規管が平衡感覚、蝸(か)牛が聴覚をそれぞれ分担している。
(4) 半規管は、体の傾きの方向や大きさを感じ、前庭は、体の回転の方向や速度を感じる。
(5) 鼓室は、耳管によって咽頭に通じており、その内圧は外気圧と等しく保たれている。
第二種衛生管理者|耳の構造と平衡感覚の仕組みを解説
耳は、音を聞く聴覚だけでなく、体の姿勢や動きを感じる平衡感覚にも関係する器官です。答えは(4)です。体の傾きや直線的な動きを感じるのは前庭で、体の回転の方向や速度を感じるのは半規管です。選択肢(4)は前庭と半規管の働きを逆に説明しているため、誤りです。

(1) 耳は、聴覚と平衡感覚をつかさどる器官で、外耳、中耳及び内耳の三つの部位に分けられる。
適切です。耳は、外耳、中耳、内耳に大きく分けられます。外耳は耳介や外耳道を含み、音を集めて鼓膜へ導く部分です。中耳には鼓膜や耳小骨、鼓室などがあり、音の振動を内耳へ伝える役割があります。内耳には蝸牛、前庭、半規管があり、蝸牛は聴覚、前庭と半規管は平衡感覚に関係します。耳は単に音を聞く器官ではなく、身体のバランスを保つためにも重要です。
(2) 耳介で集められた音は、鼓膜を振動させ、その振動は耳小骨によって増幅され、内耳に伝えられる。
適切です。音はまず耳介で集められ、外耳道を通って鼓膜に達します。鼓膜が振動すると、その振動は中耳にある耳小骨に伝わります。耳小骨は、つち骨、きぬた骨、あぶみ骨からなり、鼓膜の振動を効率よく増幅して内耳へ伝えます。内耳の蝸牛では、その振動が神経信号に変換され、聴神経を通じて脳へ送られます。
(3) 内耳は、前庭、半規管及び蝸(か)牛(うずまき管)の三つの部位からなり、前庭と半規管が平衡感覚、蝸(か)牛が聴覚をそれぞれ分担している。
適切です。内耳には、聴覚を担当する蝸牛と、平衡感覚を担当する前庭、半規管があります。蝸牛はうずまき状の構造をしており、音の振動を電気的な信号に変える働きをします。前庭と半規管は、体の傾き、直線的な動き、回転運動などを感知し、姿勢の維持やバランス調整に関与します。試験では、蝸牛は聴覚、前庭と半規管は平衡感覚という対応を押さえることが重要です。
(4) 半規管は、体の傾きの方向や大きさを感じ、前庭は、体の回転の方向や速度を感じる。
不適切です。前庭と半規管の働きが逆になっています。前庭は、体の傾きや直線方向の加速度を感じる部分です。たとえば、体が傾いているか、前後左右に動いているかといった情報を感知します。半規管は、頭や体の回転運動を感じる部分で、回転の方向や速度の変化を感知します。つまり、傾きや直線的な動きは前庭、回転運動は半規管と整理します。この選択肢は、耳の平衡感覚に関する典型的な入れ替え問題です。
(5) 鼓室は、耳管によって咽頭に通じており、その内圧は外気圧と等しく保たれている。
適切です。鼓室は中耳にある空間で、耳管によって咽頭とつながっています。耳管は、中耳内の圧力を外気圧と等しく保つ働きをします。飛行機やエレベーターで耳が詰まったように感じるのは、外気圧と中耳内の圧力に差が生じるためです。唾を飲み込む、あくびをするなどで耳管が開くと圧力が調整され、違和感が軽くなります。
この問題で覚えるポイント
耳は外耳、中耳、内耳に分けられ、外耳は音を集め、中耳は音の振動を増幅して内耳へ伝え、内耳は聴覚と平衡感覚を担当します。聴覚に関係する中心は蝸牛で、音の振動を神経信号に変換します。平衡感覚に関係する中心は前庭と半規管です。前庭は体の傾きや直線的な動きを感じ、半規管は回転の方向や速度を感じます。鼓室は中耳の空間で、耳管によって咽頭とつながり、鼓室内の圧力を外気圧と等しく保ちます。試験では、外耳、中耳、内耳の役割、蝸牛、前庭、半規管の役割分担、耳管による圧力調整が正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
この問題の中心的なひっかけは、前庭と半規管の働きを入れ替える点です。どちらも平衡感覚に関係するため、まとめて覚えていると判断を誤りやすくなります。前庭は体の傾きや直線的な動き、半規管は回転運動と区別して覚えることが大切です。また、耳は聴覚だけの器官と考えてしまうと、内耳の平衡感覚の説明で迷いやすくなります。蝸牛は聴覚、前庭と半規管は平衡感覚という大枠を先に押さえ、そのうえで前庭と半規管の違いまで整理すると、同じテーマの問題にも対応しやすくなります。
