【第二種衛生管理者過去問】2022年4月公表問題|問6|雇入れ時の安全衛生教育と省略可否|関係法令を解説

出典:第二種衛生管理者2022年(令和4年度)4月公表問題|関係法令第6問

問題

雇入れ時の安全衛生教育に関する次の記述のうち、法令上、正しいものはどれか。

( 法改正に伴い、解答選択肢を修正しました。)

(1) 常時使用する労働者が10人未満である事業場では、教育を省略することができる。

(2) 1か月以内の期間を定めて雇用する者については、危険又は有害な業務に従事する者を除き、教育を省略することができる。

(3) 飲食店の事業場においては、教育事項のうち、「作業手順に関すること」については省略することができない。

(4) 旅館業の事業場においては、教育事項のうち、「作業開始時の点検に関すること」については省略することができる。

(5) 教育を行ったときは、教育の受講者、教育内容等の記録を作成して、これを1年間保存しなければならない。

 

 

 

第二種衛生管理者|雇入れ時の安全衛生教育と省略可否を解説

雇入れ時の安全衛生教育は、新しく労働者を雇い入れたときに、事業者が遅滞なく行う必要がある教育です。2024年4月1日以降は、従来一部の業種で認められていた教育事項の省略規定が廃止され、飲食店や旅館業などを含め、原則として必要な教育事項を省略できない扱いになっています。答えは(3)です。飲食店であっても、「作業手順に関すること」は雇入れ時教育の対象であり、省略できないためです。

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(1) 常時使用する労働者が10人未満である事業場では、教育を省略することができる。

不適切です。その理由は、雇入れ時の安全衛生教育は、事業場の規模にかかわらず必要とされるためです。常時使用する労働者が10人未満であっても、新しく労働者を雇い入れた場合には、その労働者が従事する業務に関する安全又は衛生のために必要な事項について教育を行う必要があります。衛生管理者や衛生推進者の選任義務では、労働者数が基準になることがありますが、雇入れ時教育は「小規模事業場だから不要」とはなりません。ここは、事業場規模に関する別制度と混同しないことが大切です。

(2) 1か月以内の期間を定めて雇用する者については、危険又は有害な業務に従事する者を除き、教育を省略することができる。

不適切です。その理由は、雇用期間が短いことだけを理由に、雇入れ時の安全衛生教育を省略できるとはされていないためです。短期間の雇用であっても、実際に職場で作業を行う以上、転倒、機械や器具の取扱い、作業手順、事故時の対応など、安全衛生上のリスクは存在します。特に短期雇用者は職場に慣れていないため、むしろ基本的な教育が重要です。危険又は有害な業務だけが対象になるのではなく、雇入れ時教育は新たに雇い入れた労働者に対して広く行うものです。

(3) 飲食店の事業場においては、教育事項のうち、「作業手順に関すること」については省略することができない。

適切です。その理由は、現行法令では、飲食店のような業種であっても、雇入れ時の安全衛生教育における「作業手順に関すること」を省略できないためです。飲食店では、包丁、加熱機器、床の水濡れ、洗剤、食品衛生、火傷、転倒など、日常的な作業の中に多くのリスクがあります。作業手順を正しく理解していないと、本人のけがだけでなく、周囲の労働者や利用者への事故にもつながります。2024年4月1日以降は、従来一部業種で認められていた教育事項の省略が廃止されているため、この記述は正しいです。

(4) 旅館業の事業場においては、教育事項のうち、「作業開始時の点検に関すること」については省略することができる。

不適切です。その理由は、現行法令では、旅館業であっても「作業開始時の点検に関すること」を省略できないためです。旅館業では、客室清掃、浴場管理、配膳、設備確認、転倒防止、火気管理など、作業開始前に確認すべき事項が多くあります。例えば、清掃用具や機械の異常、床面の状態、設備の不具合を確認せずに作業を始めると、労働災害につながるおそれがあります。以前は一部の非工業的業種で教育事項の一部省略が認められていましたが、現在はその考え方で判断すると誤りになります。

(5) 教育を行ったときは、教育の受講者、教育内容等の記録を作成して、これを1年間保存しなければならない。

不適切です。その理由は、雇入れ時の安全衛生教育について、法令上「記録を作成して1年間保存しなければならない」という一律の保存義務は定められていないためです。安全衛生教育を実施した記録を残すこと自体は、教育実施の確認や労働災害防止の観点から実務上は望ましい対応です。しかし、試験では「法令上の義務かどうか」を問われます。特別教育など、記録の保存が明確に定められている教育と混同しないように注意が必要です。

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この問題で覚えるポイント

雇入れ時の安全衛生教育は、労働者を雇い入れたときに、事業者が遅滞なく実施する教育です。対象は、正社員に限らず、パート、アルバイト、短期雇用者などを含めて考えます。事業場の規模が小さいことや雇用期間が短いことだけで省略できるものではありません。教育事項には、機械や原材料等の危険性又は有害性及び取扱方法、安全装置や保護具の性能及び取扱方法、作業手順、作業開始時の点検、業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防、整理整頓及び清潔の保持、事故時等の応急措置及び退避、その他安全又は衛生のために必要な事項があります。2024年4月1日以降は、一部業種で認められていた教育事項の省略規定が廃止され、飲食店、旅館業、小売業などでも必要な教育事項を省略できない点が重要です。記録については、雇入れ時教育では「1年間保存」といった一律の法定保存義務があるわけではないため、特別教育の記録保存義務などと区別して覚える必要があります。

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ひっかけポイント

この問題の大きなひっかけは、改正前の知識で判断させようとしている点です。以前は、飲食店や旅館業など一部の業種で、作業手順や作業開始時点検などの教育事項を省略できる場合がありました。しかし、現行法令ではその省略規定が廃止されているため、「非工業的業種だから省略できる」という判断は危険です。また、「10人未満」「1か月以内」といった条件を見ると、ほかの労働安全衛生法令の人数基準や雇用期間の基準を思い出してしまいがちですが、雇入れ時教育の省略理由にはなりません。さらに、記録保存については、実務上は残した方がよいものの、法令上の義務として保存期間まで定められているかは別問題です。「実務上望ましい」と「法令上義務である」を分けて読むことが、同じテーマの問題で安定して正答するためのコツです。

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