【第二種衛生管理者過去問】2021年10月公表問題|問26|代謝の基礎知識|同化・異化・基礎代謝量・エネルギー代謝率|労働生理を解説

出典:第二種衛生管理者2021年(令和3年度)10月公表問題|労働生理第26問

問題

代謝に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1) 代謝において、細胞に取り入れられた体脂肪、グリコーゲンなどが分解されてエネルギーを発生し、ATPが合成されることを同化という。

(2) 代謝において、体内に摂取された栄養素が、種々の化学反応によって、ATPに蓄えられたエネルギーを用いて、細胞を構成する蛋白質などの生体に必要な物質に合成されることを異化という。

(3) 基礎代謝量は、安静時における心臓の拍動、呼吸、体温保持などに必要な代謝量で、睡眠中の測定値で表される。

(4) エネルギー代謝率は、一定時間中に体内で消費された酸素と排出された二酸化炭素の容積比で表される。

(5) エネルギー代謝率は、動的筋作業の強度を表すことができるが、精神的作業や静的筋作業には適用できない。

第二種衛生管理者|代謝の基礎知識|同化・異化・基礎代謝量・エネルギー代謝率を解説

代謝では、物質を分解してエネルギーを取り出す異化と、エネルギーを使って身体に必要な物質を合成する同化を区別することが重要です。答えは(5)です。エネルギー代謝率は、身体作業、特に動的筋作業の強度を評価する指標であり、精神的作業や静的筋作業のように酸素消費量だけでは負担を正確に表しにくい作業には適用しにくいためです。

下に移動する

【第二種衛生管理者過去問】2021年10月公表問題|問26|代謝の基礎知識|同化・異化・基礎代謝量・エネルギー代謝率|労働生理を解説する画像__2syu-2021-10-seiri-q26

下に移動する

(1) 代謝において、細胞に取り入れられた体脂肪、グリコーゲンなどが分解されてエネルギーを発生し、ATPが合成されることを同化という。

不適切です。体脂肪やグリコーゲンなどが分解され、エネルギーが発生し、ATPが合成される過程は同化ではなく異化です。異化は、体内の物質を分解してエネルギーを取り出す働きです。例えば、グリコーゲンが分解されてブドウ糖となり、さらに酸化されてATPが作られる流れは異化に当たります。同化は、逆にATPなどのエネルギーを使って、アミノ酸から蛋白質を合成するような働きをいいます。

(2) 代謝において、体内に摂取された栄養素が、種々の化学反応によって、ATPに蓄えられたエネルギーを用いて、細胞を構成する蛋白質などの生体に必要な物質に合成されることを異化という。

不適切です。ATPに蓄えられたエネルギーを使って、栄養素から蛋白質など身体に必要な物質を合成することは異化ではなく同化です。同化は「作る代謝」、異化は「分解してエネルギーを得る代謝」と整理すると覚えやすいです。この選択肢は説明内容自体は同化の内容ですが、最後の用語が異化になっているため誤りです。

(3) 基礎代謝量は、安静時における心臓の拍動、呼吸、体温保持などに必要な代謝量で、睡眠中の測定値で表される。

不適切です。基礎代謝量は、生命維持に最低限必要なエネルギー代謝量をいいます。心臓の拍動、呼吸、体温保持などに必要な代謝量という説明は正しいですが、睡眠中の測定値で表されるという部分が誤りです。基礎代謝量は、通常、早朝空腹時、安静、覚醒、快適な室温などの条件で測定されます。睡眠中は覚醒時より代謝が低下するため、基礎代謝量そのものを表す条件としては適切ではありません。

(4) エネルギー代謝率は、一定時間中に体内で消費された酸素と排出された二酸化炭素の容積比で表される。

不適切です。一定時間中に消費された酸素量と排出された二酸化炭素量の容積比で表されるものは、呼吸商です。エネルギー代謝率は、作業によって基礎代謝量に比べてどの程度エネルギー消費が増えたかを示す指標です。名称が似ていて混同しやすいですが、酸素と二酸化炭素の比を問う場合は呼吸商、作業強度を問う場合はエネルギー代謝率と判断します。

(5) エネルギー代謝率は、動的筋作業の強度を表すことができるが、精神的作業や静的筋作業には適用できない。

適切です。エネルギー代謝率は、歩行、運搬、清掃、作業動作のような動的筋作業の強度を評価するのに適しています。動的筋作業では、筋肉の活動量が増えるほど酸素消費量やエネルギー消費量も増えやすいため、作業強度を数値化しやすいからです。一方、精神的作業は脳の緊張や注意力の負担が中心であり、酸素消費量の増加だけでは作業負担を正確に表せません。また、静的筋作業は姿勢保持や力を入れ続ける作業のように、見た目の動きや酸素消費量が大きくなくても筋肉疲労が強くなることがあります。そのため、エネルギー代謝率はこれらの作業には適用しにくいとされています。

下に移動する

この問題で覚えるポイント

代謝は、異化と同化の区別が最重要です。異化は、体脂肪、グリコーゲン、糖質、脂質などを分解してエネルギーを取り出し、ATPを合成する働きです。同化は、ATPに蓄えられたエネルギーを使って、蛋白質など身体に必要な物質を合成する働きです。基礎代謝量は、生命維持に最低限必要な代謝量であり、心臓の拍動、呼吸、体温保持などに使われます。測定条件は、睡眠中ではなく、早朝空腹時、安静、覚醒、快適な温度環境が基本です。呼吸商は、排出された二酸化炭素量と消費された酸素量の比であり、エネルギー代謝率とは別の指標です。エネルギー代謝率は、作業時のエネルギー消費が基礎代謝に比べてどれだけ増えたかを示し、動的筋作業の強度評価に用いられます。ただし、精神的作業や静的筋作業では、酸素消費量だけでは負担を正確に評価しにくいため、適用できないと押さえておくと正誤判断がしやすくなります。

下に移動する

ひっかけポイント

この問題の大きなひっかけは、同化と異化の入れ替えです。「分解してエネルギーを得る」は異化、「エネルギーを使って合成する」は同化です。文章の説明が正しくても、最後の用語だけが逆になっている選択肢に注意が必要です。また、基礎代謝量は「安静時」という言葉から睡眠中を連想しやすいですが、試験では覚醒している安静状態で測定する点が問われます。さらに、酸素と二酸化炭素の容積比という表現は呼吸商を指しており、エネルギー代謝率ではありません。エネルギー代謝率については、名前からあらゆる作業負担に使えるように見えますが、実際には動的筋作業に適した指標であり、精神的作業や静的筋作業には向かないという限定条件が狙われます。

初学者向けの定番テキストはこちら

「スッキリわかる」シリーズは図解が多く、 初めて学ぶ方にも人気があります。

次の問題へ