出典:第一種衛生管理者2023年(令和5年度)4月公表問題|労働生理第41問
問題
感覚又は感覚器に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 眼軸が短過ぎるために、平行光線が網膜の後方で像を結ぶものを遠視という。
(2) 嗅覚と味覚は化学感覚ともいわれ、物質の化学的性質を認知する感覚である。
(3) 温度感覚は、皮膚のほか口腔(くう)などの粘膜にも存在し、一般に温覚の方が冷覚よりも鋭敏である。
(4) 深部感覚は、筋肉や腱にある受容器から得られる身体各部の位置、運動などを認識する感覚である。
(5) 中耳にある鼓室は、耳管によって咽頭に通じており、その内圧は外気圧と等しく保たれている。
衛生管理者過去問|感覚器の仕組み・視覚・深部感覚・温度感覚を解説
感覚器の基本的な働きについて、視覚、嗅覚、味覚、温度感覚、深部感覚、聴覚に関する知識を確認する問題です。答えは(3)です。温度感覚は皮膚や粘膜に存在しますが、一般に冷覚の方が温覚よりも鋭敏であり、「温覚の方が冷覚よりも鋭敏」とする記述が誤りです。感覚器の問題では、名称だけでなく、どの感覚がどこで受容され、どのような特徴を持つかまで押さえることが大切です。

(1) 眼軸が短過ぎるために、平行光線が網膜の後方で像を結ぶものを遠視という。
適切です。遠視は、眼球の前後方向の長さである眼軸が短過ぎる場合や、水晶体などの屈折力が弱い場合に起こります。この状態では、遠くから入ってくる平行光線が網膜上ではなく、網膜の後方で焦点を結ぶことになります。そのため、近くのものを見るときに特にピントを合わせにくくなります。反対に、眼軸が長過ぎるために網膜の前方で像を結ぶものは近視です。遠視と近視は、焦点の位置が網膜の後ろか前かで区別すると覚えやすいです。
(2) 嗅覚と味覚は化学感覚ともいわれ、物質の化学的性質を認知する感覚である。
適切です。嗅覚はにおい物質、味覚は食物などに含まれる化学物質を受容して生じる感覚です。どちらも物質の化学的性質を認識するため、化学感覚と呼ばれます。視覚や聴覚のように光や音の刺激を受け取る感覚とは異なり、嗅覚と味覚は化学物質そのものが受容器を刺激する点が特徴です。
(3) 温度感覚は、皮膚のほか口腔(くう)などの粘膜にも存在し、一般に温覚の方が冷覚よりも鋭敏である。
不適切です。温度感覚は、皮膚だけでなく口腔などの粘膜にも存在します。この部分は正しい内容です。しかし、一般に温覚よりも冷覚の方が鋭敏です。つまり、温かさよりも冷たさの変化の方が感じ取りやすいとされています。この選択肢は、前半は正しいものの、後半の「温覚の方が冷覚よりも鋭敏である」という比較が逆になっているため誤りです。試験では、このように文章の一部だけが誤っている形で出題されることがあります。
(4) 深部感覚は、筋肉や腱にある受容器から得られる身体各部の位置、運動などを認識する感覚である。
適切です。深部感覚とは、身体の各部がどの位置にあるか、どの方向に動いているか、どの程度力が入っているかなどを認識する感覚です。筋肉、腱、関節などにある受容器から情報が得られます。目を閉じていても、自分の腕や脚がどのあたりにあるか分かるのは、この深部感覚が働いているためです。皮膚で感じる触覚や痛覚とは異なり、身体の内部の状態を把握する感覚として整理しておきましょう。
(5) 中耳にある鼓室は、耳管によって咽頭に通じており、その内圧は外気圧と等しく保たれている。
適切です。鼓室は中耳にある空間で、耳管によって咽頭とつながっています。耳管は、鼓室内の圧力を外気圧と等しく保つ働きをしています。飛行機に乗ったときや高い場所へ移動したときに耳が詰まったように感じるのは、鼓室内の圧力と外気圧に差が生じるためです。あくびやつばを飲み込むと耳管が開き、圧力が調整されやすくなります。
この問題で覚えるポイント
遠視は眼軸が短過ぎる、または屈折力が弱いために、平行光線が網膜の後方で像を結ぶ状態です。近視は眼軸が長過ぎる、または屈折力が強いために、網膜の前方で像を結ぶ状態です。嗅覚と味覚は、化学物質の性質を認識する化学感覚です。温度感覚は皮膚や口腔などの粘膜に存在し、一般に冷覚の方が温覚よりも鋭敏です。深部感覚は、筋肉、腱、関節などの受容器から得られる身体の位置や運動を認識する感覚です。鼓室は中耳にあり、耳管によって咽頭と通じ、鼓室内の圧力を外気圧と等しく保つ働きがあります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「温度感覚は皮膚や粘膜にも存在する」という正しい内容の後に、「温覚の方が冷覚よりも鋭敏」という誤った比較を混ぜている点です。文章の前半が正しいと、そのまま全体を正しいと判断してしまいやすくなります。感覚器の問題では、用語の定義だけでなく、比較関係が逆になっていないかを確認することが重要です。特に、遠視と近視の焦点位置、温覚と冷覚の鋭敏さ、表在感覚と深部感覚の違いは、似た形で繰り返し問われやすいポイントです。
