出典:第一種衛生管理者2022年(令和4年度)4月公表問題|労働生理第42問
問題
ヒトのホルモン、その内分泌器官及びそのはたらきの組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。
(1) コルチゾール ――― 副腎皮質 ―― 血糖量の増加
(2) アルドステロン ―― 副腎皮質 ―― 体液中の塩類バランスの調節
(3) メラトニン ―――― 副甲状腺 ―― 体液中のカルシウムバランスの調節
(4) インスリン ―――― 膵臓 ―――― 血糖量の減少
(5) アドレナリン ――― 副腎髄質 ―― 血糖量の増加
第1種衛生管理者|ホルモンの種類・内分泌器官・生理作用一覧を解説
ホルモンは、どの内分泌器官から分泌され、体内でどのような働きをするかを組み合わせて覚えることが重要です。答えは(3)です。メラトニンは副甲状腺ではなく、主に松果体から分泌され、睡眠と覚醒のリズム調節に関係するホルモンです。副甲状腺から分泌され、血液中のカルシウム濃度を調節するのは副甲状腺ホルモンです。

(1) コルチゾール ――― 副腎皮質 ―― 血糖量の増加
適切です。コルチゾールは副腎皮質から分泌されるホルモンで、糖質コルチコイドの一種です。体がストレスを受けたときなどに分泌が増え、肝臓で糖を作る働きを促進し、血糖量を増加させます。試験では、コルチゾールは副腎皮質、血糖上昇、ストレスへの対応というつながりで覚えると判断しやすくなります。
(2) アルドステロン ―― 副腎皮質 ―― 体液中の塩類バランスの調節
適切です。アルドステロンは副腎皮質から分泌されるホルモンで、鉱質コルチコイドの一種です。主に腎臓に作用してナトリウムの再吸収を促進し、カリウムの排泄にも関係します。その結果、体液中の塩類バランスや水分量、血圧の調節に関わります。副腎皮質からはコルチゾールとアルドステロンが分泌される点をまとめて覚えると効率的です。
(3) メラトニン ―――― 副甲状腺 ―― 体液中のカルシウムバランスの調節
不適切です。メラトニンは主に松果体から分泌されるホルモンで、睡眠と覚醒のリズム、いわゆる体内時計の調節に関係します。副甲状腺から分泌されるのは副甲状腺ホルモンで、血液中のカルシウム濃度を上昇させる方向に働き、体液中のカルシウムバランスの調節に関係します。この選択肢は、ホルモン名、内分泌器官、作用のすべてが正しくつながっていないため誤りです。
(4) インスリン ―――― 膵臓 ―――― 血糖量の減少
適切です。インスリンは膵臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌されるホルモンです。血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませたり、肝臓や筋肉でグリコーゲンとして蓄えさせたりすることで、血糖量を減少させます。血糖を下げる代表的なホルモンはインスリンであり、血糖を上げるホルモンにはグルカゴン、アドレナリン、コルチゾールなどがあります。
(5) アドレナリン ――― 副腎髄質 ―― 血糖量の増加
適切です。アドレナリンは副腎髄質から分泌されるホルモンです。交感神経の働きと関係が深く、緊急時や強いストレスを受けたときに心拍数を増やしたり、血糖量を増加させたりして、体を活動しやすい状態にします。副腎は皮質と髄質で分泌するホルモンが異なるため、副腎皮質はコルチゾール、アルドステロン、副腎髄質はアドレナリンと整理しておくと間違えにくくなります。
この問題で覚えるポイント
ホルモンの問題では、ホルモン名、内分泌器官、作用の3点セットで覚えることが正誤判断に直結します。副腎皮質からはコルチゾールやアルドステロンが分泌され、コルチゾールは血糖量の増加、アルドステロンはナトリウムやカリウムなどの塩類バランスの調節に関係します。副腎髄質からはアドレナリンが分泌され、交感神経の働きとともに血糖量を増加させます。膵臓から分泌されるインスリンは血糖量を減少させる代表的なホルモンです。副甲状腺は副甲状腺ホルモンを分泌し、カルシウムバランスを調節します。メラトニンは副甲状腺ではなく松果体から分泌され、睡眠と覚醒のリズム調節に関係します。血糖量を下げるホルモンはインスリン、血糖量を上げるホルモンはコルチゾールやアドレナリンなどと対比して覚えると、同じテーマの問題に対応しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、ホルモンの作用だけを見ると正しそうに感じる組合せに、別の内分泌器官や別のホルモンを混ぜている点です。特にメラトニンと副甲状腺ホルモンは、どちらも内分泌に関する用語ですが、分泌器官も作用も異なります。副甲状腺という言葉を見るとカルシウム調節を連想しやすいため、作用だけで判断すると見落としやすくなります。ホルモン問題では、名称、分泌器官、作用のうち一部だけが正しい文章がよく出題されます。なんとなく聞いたことがある組合せで判断せず、3点がすべて一致しているかを確認することが大切です。
